最終年度である平成25年度においては、判例研究および理論研究において得られた知見について、これを統合して分析的な研究を実施した。 まず、初年度および次年度において検討した判例および学説の分布状況を整理し、各論点ごとに判例および学説の立場を明らかにした。この判例および学説の整理に関しては、いまだ資料が不足している部分および内容が不明な点があった。そこで、ドイツ・ミュンヘンのマックスプランク研究所の附属図書館において、不足している資料を収集し、ライブラリスタディを実施した。これにより、より広く資料を渉猟したうえでの検討が可能となり、判例の位置づけおよび学説の内容についての理解が適切さに実現できることとなった。 以上のように、実施する判例および学説の整理をおこなったうえで、これらに対して批判的な分析をくわえることにより、本研究課題に対する結論を導くことができると考えている。本研究の成果の一部については、平成25年7月27日に開催された慶應EU研究会にて報告(「EU競争法の公共サービスに対する適用とEU」)をおこない、EU法、EU域内市場法およびEU社会政策などにひろく知見を有する国内の法学・政治学・経済学の研究者から有益なコメントをうけることができた。こうした機会をもつことにより、より研究テーマに関して複眼的な検討が可能となったと考えている。最終的な研究成果は、論文というかたちで、研究代表者が所属する機関が発行する紀要(「横浜法学」)などで公表することを予定している。
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