日本や欧州において、これまで国家が担うと考えられてきた様々なサービスが市場化され、競争法による規制となると考えられている。市場化されたサービスに含まれる社会保障は競争法による規律をどのようにうけているかを検討した。関連事例と学説を豊富に有するEUを比較法的検討の対象とした本研究からは、社会保障サービスが市場化されたとしても競争法ないし国家補助規制の対象となるか否かは、市場化の手法等により異なり、個別具体的な判断がまず求められ、この点に関しては欧州でも判例が形成過程にあることが明らかになった。競争法の適用を受ける場合にも、正当化事由としての連帯概念等についての衡量が要請される。
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