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2011 年度 実施状況報告書

現代社会における責任能力の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730061
研究機関東京大学

研究代表者

樋口 亮介  東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90345249)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード責任能力
研究概要

本年度は基礎研究として、刑事責任能力の専門家であるヘルムートフリスター教授の指導の下、自由意志と責任の基礎的な研究及び精神医学の基礎知識を培った。現在の日本では、自由意志の仮定が必要である、として自由意志論の難問は差当り棚上げにしてしまい、責任能力は他のことをなしえたか、という他行為可能性の判断材料に過ぎないとされている。しかし、精神病の限界上にある人間の行う犯罪は、自由な意思に基づくものという仮定は無意味なものであり、決定論を前提にして責任能力を再構築する必要がある、ということを認識するに至った。そのような立場を主張するフリスター教授と個人的な関係を構築することで、今後、我が国で、直接に講演を行っていただく目途をつけることができた。また、法律家の精神医学の基礎知識の欠落は深刻な問題であると考え、週一回、大学生向けの精神医学の講義をゲストとして聴講し続けた。法律家の自由意志論とはかけ離れた形で、人間としての相互関係の構築や価値観という高度の精神機能の崩壊を治療の対象と考える精神医学者の基本的発想をある程度理解することができた。精神医学者が治療の対象と認識している精神の問題のうち、どの範囲が刑事罰にふさわしくない部分として責任無能力者として刑事手続きから排除し、どの範囲はなお刑事罰にふさわしいと考えるかについて、医学者に十分説明できるように法律家として準備を進めることが必要と痛感している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最終目標として、刑事責任能力について、裁判員裁判において職業裁判官が裁判に簡潔かつ明快に基準を説明できることである。その目標からすると、1年間の基礎研究によって思考のベースを構築することができた。

今後の研究の推進方策

本年度もなお精神医学の基礎知識を培うことが必要と考えている。そのため、医学部向けの高度の講義を受講し、その理解を進めることを主眼にしている。

次年度の研究費の使用計画

書籍の購入を中心とする。また、研究会参加のための旅費も必要となる。

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公開日: 2013-07-10  

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