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2013 年度 実施状況報告書

現代社会における責任能力の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730061
研究機関東京大学

研究代表者

樋口 亮介  東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 准教授 (90345249)

キーワード刑法 / 責任能力
研究概要

本年度は、責任能力の判断の基礎を形成した、アメリカの精神医学者の執筆した文献の分析を主たる検討対象に据えた。
19世紀前半、法的な責任能力の判断基準が異常に厳しいことに対抗して、精神医学的な基準から死刑からの解放される領域を確保する努力がなされたこと、それがアメリカの各州に受容された過程を確認できた。
とりわけ、「善・悪」の判断の可能性を超えて、刑罰という人間の行動コントロールのシステムを前提に、そのようなシステムとのマッチング、すなわち、行動コントロール能力の完全喪失、という基準が解明されたことは、現在の日本でも直ちに利用可能な基準であって、極めて有意義であった。
さらに、精神病による犯罪の産出という形で19世紀後半のニュージャージー州に受容された後、連邦債裁判所にまで受容される過程まで検証することができた。
一方で、イギリス法の動向も追いかけることができた。アメリカの精神医学を知り、精神病者に過剰に死刑を適用することを回避するマクノートンルールは、現在では、非常に精神病者に厳しい基準と言われているものの、当時においては、死刑限定という点で精神病者に関大な方向に向かうものであったことが検証できた。
このような検証によって、問題行動の善悪の認識、善悪にしたがった行動制御の問題、善悪の判断という枠組みを超えた人間の行動コントロール一般の問題という、精神病者の取扱いに関する基本的思考枠組みを形成することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

精神医学の研究に時間が予定よりもかかっている。
分析の時間軸を200年程度に設定し、法学と医学にまたがった研究を進めているため、やむを得ない面はあるものの、研究を早める工夫は必要である。

今後の研究の推進方策

20世紀以降のアメリカにおける精神病者の取扱いについて集中的に研究を行う。
基礎研究はかなり進んでいるため、アメリカ法の研究を進めれば、現在の日本法の分析に有意義な成果が期待できる。

次年度の研究費の使用計画

外国図書の納品が遅れたため
書籍購入や研究会への参加費にあてる。

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公開日: 2015-05-28  

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