本研究は、殺人罪を分析対象とし、裁判員裁判施行前後における量刑傾向の客観化と量刑判断の構造についての制度施行前後の比較を行うことを目的とするものである。 本研究では、まず、調査票作成作業として、従来の実証研究の成果や学界および実務におけるこれまでの「量刑法」研究の学問的成果等を参考にし、本研究の調査目的についての分析を可能にすることが期待できる量刑因子等を選出し、調査項目を選別し、調査票の作成に取り組んだ。 調査対象収集作業としては、女性犯罪研究会が殺人罪事件分析のために最高裁の協力を得て収集した全国の地方裁判所の殺人罪判決のなかから、本研究での分析に適した判決例を選別作業および複写作業に取り組んだほか、判例データベース「LEX-DB」を用い、裁判員裁判における殺人罪事件判決の収集に取り組んだ。 収集した調査対象判例について、調査票への記入作業を進めたのち、仮分析の過程で、最終的に用いる調査項目の選定作業に取り組んだのち、多変量解析の手法を用いて、裁判員裁判施行前後における量刑傾向の客観化と量刑判断の構造についての制度施行前後の比較に取り組んだ。
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