今日、自然環境保護の重要性の見地から、我が国の民事法学・環境法学においては、環境に対する侵害から環境それ自体(大気、水、生物多様性など)に生じる損害((純粋)環境損害)の救済に関する研究の必要性が指摘されている。そこで本研究では、純粋環境損害の賠償について学説の蓄積があり、また環境団体訴訟制度を通じて実際の裁判でもこのような損害の賠償が認められるようになってきているといわれるフランス法の分析を行った。フランス法と現在の日本法の状況の比較により、今後我が国において純粋環境損害の賠償のための法的枠組みを構築するために検討しなければならない、実体法上・手続法上の問題点を明らかにすることができた。
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