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2012 年度 実施状況報告書

市場志向型投資家保護法の構築

研究課題

研究課題/領域番号 23730085
研究機関新潟大学

研究代表者

牧 佐智代  新潟大学, 人文社会・教育科学系, 講師 (40543517)

キーワード断定的判断の提供 / 金融商品販売法 / 消費者契約法 / 投資取引 / 金融商品取引 / 取引的不法行為
研究概要

投資取引における業者(従業員)の勧誘態様規律は近時ますます重要な課題となっている。本年度は、米国における投資勧誘規律の法理について考察を深めると共に、平行して我が国における具体的な紛争(裁判事例)を検討しその成果を公表した。
第一に、実際の勧誘場面において、「確実に儲かる。」・「絶対に値上がりする。」などの発言はよくみられるにも関わらず、こうした勧誘態様を問責する断定的判断の提供法理の民事責任発生の判断枠組み・理論枠組みについては十分に分析されてこなかったところ、広く実務家・学生・一般投資家にも理解できるよう、学生向けの解説として要領よくまとめたものを公表した。
第二に、商品先物取引における投資勧誘が問題となった最判平成22年3月30日について判例評釈を公表した。同稿においては、従来議論されてこなかった、断定的判断の提供(消費者契約法4条1項2号)と不利益事実不告知(同条2項)の棲み分けという問題が存していることを明らかにし、またこの棲み分けのあり方についての指摘をなすものである。これまで行ってきた断定的判断の提供に関する分析を踏まえて隣接する諸法理との関係を分析することで、本申請課題の市場志向型投資家保護法という総合的な民事規律について考察を深めることができた。さらに、不利益事実不告知の勧誘態様のもつ意思表示形成への影響力行使の点で異なった2つの類型の存在することを明らかにすることで、消費者契約法4条2項の不利益事実不告知に関する分析を前進させたと言える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、比較法として米国の投資勧誘規制について民事法理、業規制について分析を行う作業を進めると共に、我が国における投資勧誘規制について具体的な紛争事例を素材として2本の論稿を公表することができた。

今後の研究の推進方策

継続して我が国における具体的な裁判例分析は行うと共に、最終年度として比較法部分の分析を公表することを目指す。比較法部分については、米国に関する分析を終了の後、近時金融監督体制の改革を実施した英国について、とりわけ投資家保護に関する部分について改革の経緯や影響などを検討する予定である。
なお、24年度科研費につき発生した未使用額は、洋書等物品の納品が3月末と遅れたため支払処理が翌年度にずれこんだものであり、研究計画自体に影響を及ぼすものではない。

次年度の研究費の使用計画

引き続き英米における投資市場法制に関する文献収集を行うために、「英米契約法関係図書」、「証券取引法学関係図書」の支出を計画しているほか、上記推進方策にある英国における改革を調査すべく渡航旅費の支出を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] 将来の変動する不確実な事柄に関する言明と不利益事実不告知2013

    • 著者名/発表者名
      牧佐智代
    • 雑誌名

      新世代法政策学研究

      巻: 20巻 ページ: 257-271

    • URL

      http://hdl.handle.net/2115/52493

  • [雑誌論文] 断定的判断の提供と不法行為責任2013

    • 著者名/発表者名
      牧佐智代
    • 雑誌名

      金融商品取引法判例百選

      巻: 別冊ジュリスト214 ページ: 38-39

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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