本研究は、契約不履行に基づく損害賠償について、賠償モデル・履行モデルという2つの理論枠組みを分析視角として設定し、これらのモデルを用いて契約不履行に基づく損害賠償に関わる実定法及び学理的議論を分析した後、各モデルの実践的意義及びその背景を探求しながら、前提となるモデルが契約不履行法、民事責任法、及びそれらの体系化にどのような影響をもたらすのかを考察して、契約不履行に基づく損害賠償を実現されなかった契約(債権)の履行を確保するための制度として捉えるモデル=履行モデルを現在の法の解釈、そして、制度設計の枠組みとして提示するものである。
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