研究概要 |
平成23年度~25年度に行う本研究は、現代の身元保証の実態を明らかにすることを目的としている。 平成24年度には、調査票を用いた2度の実態調査を実施した。質問票の質問項目は、概略すると、身元保証書の徴求の有無、身元保証人の要件(身元保証人に期待する属性)、身元保証契約の存続期間、身元保証人に対する通知の有無、身元保証金・身元信用保険の利用の有無、身元保証人に対する請求の状況、身元保証に関する意識等である。これらの質問項目は、1936(昭和11)年と1963(昭和38)年に西村信雄教授によって実施された調査をふまえ、一部修正したものである。 第1回調査は、2012(平成24)年10月下旬に、全上場会社3,545社に調査票冊子を送付し、12月末までに328社から回答を得た(回答率8.8%)。詳細は研究最終年度(25年度)に公表を始める予定であるが、237社(71.8%)が身元保証書を徴求していると回答しており、現代においても身元保証書を徴求する慣行が廃れていないこと、しかし、1936年の92.1%、1963年の94.0%に比べると身元保証を求めない会社も増えてきていることが明らかになった。 また、身元保証人像にも変化が見られた。1936年調査からは、複数の身元保証人が必要とされ、資格要件に合致する名士に頼んで身元保証人になってもらっていたことがうかがわれ、1963年調査の時期には、具体的な資産額・納税額を示さず「独立の生計を営む者」を身元保証人とするようになっていた。今日では、身元保証人の要件は特に定められていないか、あるいは、本人の親を身元保証人にすることが求められている。 第2回調査は、平成25年1月下旬に、平成24年10月刊行のデータベースに基づき、非上場会社(未上場会社)4,313社に調査票冊子を送付し、3月末までに590社から回答を得た。
|