2年目(最終年度)を延長して迎えた本年度は、2013年2月に出された民法(債権関係)に関する中間試案における保証規定について、これまでの法制審議会における議論の経過を踏まえて検討を加えた論考を発表し、大阪大学大学院高等司法研究科民法教員有志としてパブリックコメントを提出した。また、保証契約締結後の債権者の保証人に対する情報提供義務について、我が国の判例によって形成された従来の状況と債権法改正中間試案による提案との関係性について検討した。 本研究は、①債権者の保証人に対する義務の拡大、②過剰債務に対する保証人の保護の態様の変化、という2つの観点から、我が国における民法制定以来の保証人保護に関する種々の方策を分析し、保証が用いられる各場面を支配する金融政策・法政策による影響を明らかにし、我が国における保証法の多様化・多元化、保証法内部における類型論の進展についても明らかにした。これは、民法(債権関係)改正に対してみならず、今後の保証理論の発展にも、意義を持つものである。2012年2月から2014年2月までフランス・パリ第2大学において在外研究の機会を得たため、本研究の成果をフランス語でもまとめて公表しており、同様の問題を抱える彼の国に対して我が国の状況を発信し、フランス人研究者や実務家と、国を超えて、あるべき保証人保護の在り方、経営者保証と中小企業金融の関係性について議論することに寄与し、本研究の成果は、日仏の学術交流にも資するものでもあった。
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