• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

知的財産権侵害における損害賠償法の再検討 ‐不当利得法の視点から‐

研究課題

研究課題/領域番号 23730095
研究機関山口大学

研究代表者

油納 健一  山口大学, 経済学部, 教授 (20325236)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2015-03-31
キーワード不当利得 / 知的財産 / 使用 / 損害賠償 / 侵害 / 返還義務 / 返還請求権
研究概要

侵害利得における"有体物の無断使用"に関するRG・BGH判決と不当利得法学説(差額説・割当内容説)を9割以上収集した(ドイツ民法においては、不法行為制度の適用範囲が限定されている代わりに、不当利得制度の適用が広く認められており、それゆえ、不当利得に関する判決と研究論文が共に膨大であった)。そして、これらの資料を詳細に分析・検討し、"侵害者の返還義務の対象は何か"・"侵害者の「使用利益(使用料)」をいかに算定するか"という二つの点を明らかにすることができた。すなわち、ドイツの判例・学説は、侵害者の返還義務の対象を使用可能性ととらえ、この算定基準を客観的市場価格としていたと評価できよう。 本研究の課題が、知的財産権侵害という"権利の無断使用"についてであるにもかかわらず、平成23年度にあえて"有体物の無断使用"について研究したことには理由がある。すなわち、"有体物の無断使用"の場合と"権利の無断使用"の場合とは、物と権利の違いがあるのみであり、問題の本質にほとんど差異がない。そこで、"有体物の無断使用"について蓄積された研究を応用し、"権利の無断使用"について適切な解決方法を探る点で、重要な意義があったのである。 もっとも、侵害利得論における"有体物の無断使用"に関するドイツの判例・学説が、知的財産権侵害の事例にいかに応用されているのか、すなわち、知的財産権侵害の事例において"不当利得制度"を用いた場合の返還義務の対象と「権利の使用利益(使用料)」算定の問題については、未解決のままである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度は、計画通り研究を遂行することができたから。

今後の研究の推進方策

平成23年度に収集できなかった資料(全体の1割未満)について引き続き収集を行い、検討を加えることにする。 また、平成23年度で検討した、侵害利得論における"有体物の無断使用"に関するドイツの判例・学説が、知的財産権侵害の事例にいかに応用されているのか、すなわち、知的財産権侵害の事例において"不当利得制度"を用いた場合の返還義務の対象と「権利の使用利益(使用料)」算定の問題についての研究を開始する。また、有体物の無断使用に関する場合と異なった考えた方を採用する判例・学説があれば、なぜその必要があったのか、どんな利点があったのかなども含めて明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

平成24年度の研究計画を遂行するために、随時研究費を支出する。応募者の勤務校には、不当利得法に関するドイツ法文献が少ないことから、本研究の計画遂行のためには、国会図書館、最高裁判所、東京大学附属の外国法文献センター、他大学の図書館等に出張する必要がある。したがって、研究経費において調査・研究旅費、複写費が必要となる。また、この問題に関係する近年発行の最新著書を網羅的に収集する必要があり、研究経費において不当利得法・知的財産法関連図書の購入が必要となる。 また、平成23年度は、科研費を全額使用する予定だったが、未使用額が発生してしまった。山口大学の勤務環境と、私の研究計画に齟齬があったため、資料収集目的の出張ができなかったからである。しかし、24年度から私が所属することになった広島大学では、確認をとったところ、同様の問題はない。 したがって、24度以降は、23年度に収集できなかった資料も24年度分と合わせて収集する計画であり、科研費をほぼ全額使用できるものと考えている。

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi