研究課題/領域番号 |
23730102
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
植本 幸子 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (20423725)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | 擬制信託 / 担保法 / 法定担保権 / 優先的回収 / 優先的取戻し / エクイティ / cnstructive trust / 訴訟係属登録 |
研究概要 |
アメリカ法では擬制信託が優先的取戻しの機能を有するのが原則であるが、実際にはその機能が制限されている事例が存在する。本研究は、不動産法制度を中心とする財産法や執行法における法秩序との整合性・関連性を踏まえて、擬制信託における優先的取戻しの制限法理の分析を行うことにより、擬制信託とその制限法理の機能を明らかにすることを目的とする。具体的には、連邦倒産法に関連する事例と訴訟継続登録に関連する事例のそれぞれにおいて、擬制信託が制限されている。本研究ではそのうち訴訟係属登録に関連する制限事例についての分析を行った。実際の事案を分析してみると、それらの裁判例においては、「不動産上の権原」といった権利概念、すなわちその権利概念を背景とする擬制信託の主張と優先的取戻しという機能における担保的側面の矛盾が現れていることがわかる。裁判例を通した現実的な解決についての評価のあり方により、その両極を示し、それらのいずれを取るのかについて考察することは、近年問題になっている担保法の捉え方について再考する潮流にとって意義のあるものである。他方で、2011年の原状回復と不当利得法について新しいリステイトメントがあるがそこでは擬制信託自体については「所有権」という権利性の概念を捨て去っていない。上記の裁判例は、原状回復法、不当利得法の分野における擬制信託の捉え方全体を再考する足がかりとして重要性を有するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在の成果において日本における優先的取戻し、すなわち担保法に関する解釈・立法上の示唆を提供することに成功している。他方で、成果の一部を投稿済みである紀要発行が遅れており発表等の現実化の達成度が低いため(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
2011年の原状回復と不当利得法について新しいリステイトメントがあるがそこでは擬制信託自体については「所有権」という権利性の概念を捨て去っていない。従来のリステイトメントとその起草者による基本書のみではなく、このような新しいリステイトメントの立場を再考し検証する必要が生じた。そこで、不動産法や執行法の資料より先に、当該リステイトメントについて必ず検証し分析を進める計画である。<時期> <作業> <担当者> 4~10月 (i)不当利得法リステイトメント関係の資料収集 植本幸子 6~3月 (ii)資料の分析 植本幸子
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次年度の研究費の使用計画 |
2011年の原状回復と不当利得法について新しいリステイトメントと、それらに関連する資料を第一に揃える計画である。それらに応じて財産法、救済法等についても新しい資料を入手する計画である。
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