研究課題/領域番号 |
23730102
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
植本 幸子 鹿児島大学, 法文学部, 准教授 (20423725)
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キーワード | 民事法学 / 擬制信託 / アメリカ法 / constructive trust / 優先的取戻し |
研究概要 |
アメリカ法では擬制信託(constructive trust)が優先的取戻しの機能を有するのが原則であるが、実際にはその機能が制限されている事例が一部に存在する。本研究では、不動産法制度を中心とする財産法や執行法における法秩序との整合性・関連性を踏まえて、擬制信託における優先的取戻しの制限法理の分析を行い、擬制信託とその制限法理の機能を明らかにすることを目的とする。具体的に擬制信託の制限が見られる例として、連邦倒産法に関連する事例と訴訟係属登録に関連する事例が存在する。初年度においては訴訟係属登録に関連する制限事例の分析を行った。これは執行・保全の問題であるとともに、財産権の観念に関連した項目である。そこで、平成24年度においては、財産法における法秩序との整合性・関連性についての分析の1つとして、擬制信託ではなく明示信託の救済と、明示信託が背景にありながら失敗し不成立となった事案における擬制信託の救済についての分析を行った。その結果、明示信託が成立しない場合の擬制信託の救済の可否、守られるべき当事者のカテゴリーに関連し、その背景にある明示信託が商事信託であるか民事信託であるかの違い、明示信託成立と不成立のそれぞれの場合における類型の可能性が立てられた。H25年度においては引き続き、以上の項目に沿って財産法秩序の体系書による制限法理の分析を行い、H23年度においても参照したリステイトメントの資料も併せた分析と検証を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
分析作業中に検証必要な事項が出たため、予定していた投稿を初稿提出後に撤回した。そのため業績の公表はない。しかし、本年度においては救済の機能につき分析する視点についての確信を得られたこと、その分析の具体化についての道筋が立ち、分析項目がより細かく具体化したしたことから順調な進展についての心証を得たため(1)とする。
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今後の研究の推進方策 |
4~3月 財産法の基本書における制限法理の分析 4~3月 リステイトメントからの検証 4~3月 アメリカ法と日本法の資料収集と分析 9~3月 口頭報告に向けた下準備
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次年度の研究費の使用計画 |
既に入手した資料の最新版の購入と、研究成果の公表とその下準備のために必要なパソコンの購入が計画されている。
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