アメリカ法では、信託の設定が無い場合に信託があるかのように扱う救済法理があり、一定の場合には一般債権者に優先した取戻しが認められる。それが、擬制信託であり、エクイティ上のリーエン(先取特権)である。しかし、実際の裁判例においてはそのような擬制信託の主張による優先的な取戻しの救済が受けられない場合がある。本研究では、擬制信託の制限において、擬制信託の成立についてのいわば実体法的要件と、救済自体を認めるか否かという手続法的な要件を意識し、実際に取戻し権者の財産権がどのように制限されているかについて、擬制信託以外の法理との比較において検証を行った。
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