本研究では、私法体系の再編をも視野に入れ、法律行為論を再構築するために、何故、法律行為の当事者の「意思」に基づいて解決することが困難な「法律行為論の限界」の問題が生じたのか、その理由(「法律行為論の本質論」)を体系的・原理的に検討した。 その結果、「法律行為論の限界」の問題は、①(体系的観点)私法体系が「インスティトゥツィオーネン方式による義務・他律の啓蒙期自然法体系」から「パンデクテン方式による権利・自律の近代私法体系」へと転換したことにより生じ、その後、②(原理的観点)自由意思概念が「自律的・規範的意思」から「自律的・事実的意思」へと変質したために顕在化したことを明らかにした。
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