最終年度では、残された課題である「個人情報保護法制と消費者保護法制の交錯」を検討した。米国は、プライバシー保護を消費者保護の一環として保護しており、2012年2月23日付の政策大綱である「消費者データプライバシー」や、同年3月26日付けの「急変する時代における消費者プライバシー保護」(FTCプライバシーレポート)などを公表してきた。 本研究の最終目的である「デジタル化した個人情報の集積」に対するプライバシー・個人情報保護の権利に関する結論を得るため、2013年6月には米国FTC、商務省、権利者団体に訪問し、関係者と意見交換を行った。調査では、プライバシー(権)に対する関係者の認識を聞くとともに、消費者プライバシー権利章典(上記「消費者データプライバシー」に掲載)の立法化の可能性などを質問した。調査の結果は、2013年7月の総務省情報通信法学研究会で報告を行うととともに、2014年4月発行の情報通信政策レビューに寄稿した。 EUについては、データ保護規則提案の「忘れられる権利」に関する追跡調査を行っていたが、2014年3月に欧州議会で可決された案では、この言葉は削られ、「削除権」に修正された。米国の「追跡拒否」の実施状況も調査した。 「捜査機関によるライフログの利用」については、アメリカ連邦最高裁判所の重要判決(United States v. Jones)を検討していたが、2013年6月にPRISM問題が発生したため、後者のもたらす法的問題の検討に注力した。
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