グローバル化の進展によって、文化的表現の多様性(以下、「文化多様性」と呼ぶ)の維持が喫緊の課題となりつつある。文化多様性の維持には、国家(政府)による文化政策とともに、文化多様性を維持するような産業構造の構築が不可欠である。 本研究は、以下の問題点を解明することを目指した。第1に、国家による文化政策という観点から、他の文化政策達成手段との関係を踏まえ、知的財産法が果たすべき役割について検討した。第2に、文化における産業の重要性に鑑み、「クリエイティヴ産業」に着目し、文化多様性の維持を可能とする産業構造の前提条件の探求と、そこにおける知的財産法の役割について検討した。
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