研究課題/領域番号 |
23730120
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
一家 綱邦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50453981)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 病院倫理委員会 / 臨床倫理 / 医事法学 |
研究概要 |
本研究は課題名が示すように、理論的研究と実践的研究とに内容を二文する。理論的研究に関する研究実績としては、早稲田大学法学部に博士号学位取得申請論文として平成24年1月に提出した(現在、学位審査中の)論文「病院内倫理委員会の比較医事法学的研究 ―モデルと指導原理の探究―」を作成したことを挙げる。アメリカのHospital Ethics Committeeに関する立法、行政規則、事件、裁判例、学説などを研究対象にし、病院内倫理委員会が本邦で活用されるために必要なモデルと法律学の指導原理を明らかにした。また、近時に日米法学会から発行される学会誌「アメリカ法2011-2号」において「倫理委員会システムの1つの歴史:社会科学研究の自由と規律」と題したZACHARY M. SCHRAGの「ETHICAL IMPERIALISM: INSTITUTIONAL REVIEW BOARDS AND THE SOCIAL SCIENCES, 1965-2009」という研究書の書評を書き、最新のアメリカの倫理委員会研究の動向を紹介した。実践的研究に関する研究実績としては、京都府立医科大学附属病院に病院内倫理委員会を創設するワーキンググループの活動を通じた研究活動を行った。具体的には、実際に臨床現場で生じる倫理的問題に対する相談を受け、グループ内で倫理的観点からの検討を行い、相談者に助言をする模擬相談活動を平成23年度は3回実施した。同時に、主に学外の法学・倫理学の研究者とともに病院内倫理委員会が実効的に活動できる仕組みを検討し、その成果として規程や運営規則の作成を行った。また、日本の倫理委員会システムの成功例として模範になる北里大学医学部の倫理委員会の先生にインタヴュー調査を行った。そのような活動が病院内でも認められ、近時に附属病院内に病院内倫理委員会が正式に創設され、活動を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した通り、理論的研究としてはアメリカ法研究を博士論文と書評という形で成果を発表できた。実践的研究としても、京都府立医科大学の附属病院内で病院内倫理委員会の創設が近時に予定されており、研究成果の賜物と自己分析している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アメリカ法研究で得た知見を、本邦の法制度内で生かすための理論的研究を行い、その成果を今年11月の日本医事法学会で報告する予定である。実践的研究としては、附属病院内で倫理委員会が正式に発足することを見込み、その活動内容について今年の10月に開催される生命倫理学会でワーキンググループのメンバーと共同で報告する予定である。その他にも複数本の論文の発表を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度と同様に、研究に必要な書籍の購入のための物品費が必要になる。国内の研究会やシンポジウムに参加して知見を深め、情報交換や意見交換を活発に行う目的のために旅費が必要になる。場合によっては、本邦の枠組みの中では問題解決の糸口がつかめないと判断した場合には、海外の研究機関や医療施設又は学会等への調査研究も予定する。人件費・謝金については、その他の財源などの利用可能性もあり、臨機応変に使用したいと考える。
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