理論的研究の実績としては、以下に示すとおりに2本の研究論文、1本の著書作成及び1本のシンポジウム報告を挙げる。 まず、一家綱邦「病院内倫理委員会の法的意義 ―アメリカの裁判例の検討から―」年報医事法学28号9-14頁(2013年)を発表することで、アメリカの裁判例をもとに、臨床で病院内倫理委員会を活用することが有する法的な意義について明らかにした。 一家綱邦「再考・病院内倫理委員会 ―本邦の現状と再生のための序論―」生命倫理通巻24号23-30頁(2013年)を発表することで、日本の倫理委員会システムの現状を分析するとともに、それが抱える大きな問題を指摘し、その改善・対応のための理論を示した。 また、本邦においては病院内倫理委員会と対になって存在し活動する研究倫理審査委員会が担う臨床研究の倫理審査に関する問題を明らかにするために、一家綱邦「臨床試験のプロトコール違反」医事法判例百選(第2版、2014年)90-91頁を執筆した。 最後に、東京大学で開かれた第25回日本生命倫理学会年次大会の公募シンポジウム「医療ネグレクトへの『事前的関係調整法』による対応」において、「事前的関係調整法の手続的側面ー手続拠点としての病院内倫理委員会ー」と題する研究発表を行い、小児医療ネグレクトの問題事例に対応するための院内組織・対外機関としての病院内倫理委員会の機能と意義について明らかにした。 実践的研究の実績としては、上記の理論的研究の成果を踏まえつつ、2012年7月に創設した京都府立医科大学附属病院臨床倫理委員会の活動(主に臨床の医療従事者からの相談対応と委員会内での定期的な研修会の開催)を行ったことを挙げる。
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