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2011 年度 実施状況報告書

第1次インドシナ戦争期の北ベトナムでの総動員体制の構築と冷戦の影響をめぐる研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730128
研究機関北海道大学

研究代表者

平山 陽洋  北海道大学, スラブ研究センター, 学術研究員 (80570986)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワードベトナム / 第1次インドシナ戦争 / 東南アジア / 冷戦史 / 総動員体制
研究概要

平成23年度には、ベトナムのハノイに赴き史資料調査を実施した。具体的には、第1に、国家図書館にて、第1次インドシナ戦争期に刊行された官報、小冊子、新聞(『事実』、『人民』等)、雑誌(『内部生活』、『集刊経済』等)を閲覧、撮影した。これらの史資料は、第1次インドシナ戦争期にベトナム民主共和国の中央政府が、徴兵、食糧調達、労働力徴用等の各種戦時動員システムの構築を図った政治過程を解明する上で重要である。第2に、第1次インドシナ戦争後に刊行された、同戦争の地方ごとの歴史経験を記述したベトナム語書籍を収集した。これら書籍は、河川下流のデルタや河川中流の谷間、山岳地方といった地理的条件の相違や、戦局の変化に伴う民主共和国政府とフランス軍の両勢力の支配範囲の変化という時間的条件の相違によって、各種戦時動員システム構築の進度が地方ごとに異なる実態を検証し、そうした進度の違いに起因する中央と地方の関係の多様なあり方を考察する上で重要である。第3に、第1次インドシナ戦争期における各地方の状況を分析するための補助的史資料として、地理書や古地図を収集した。現在、調査したこれら史資料の総合的な検討を進めており、その検討の成果を論文にまとめる予定である。 上述の史資料調査に加えて、ハノイでは、フランスの設置する学術機関である極東学院を訪問し、同学院に所属する研究員から、地方ごとの状況の相違に着目しつつ第1次インドシナ戦争を理解するにあたって、公文書をいかに利用しうるかに関して専門的知識の提供を得た。こうした専門家の協力を元に、公文書の調査を進展させつつ、研究成果をまとめる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成23年度には、第1次インドシナ戦争期の各種戦時動員システムの構築に関する史資料の調査をおおむね順調に進展させた。特に、同時代の各種刊行物や、後年に刊行された各地方の戦争経験に関する書籍の調査は、予定以上に進展している。一方、公文書の調査に関しては、ベトナムにおける公文書館の閉鎖性の問題もあり、予定よりも若干時間を要している側面がある。以上の事情を総合的に判断して、(2)の評価が妥当と考える。

今後の研究の推進方策

本研究課題では、今後、第1次インドシナ戦争期の各種刊行物や、後年に刊行された各地方の戦争経験に関する書籍の調査を継続するとともに、同戦争に関する日記や回想録の調査も開始する。加えて、公文書の保存と利用の状況に関する調査を本格的に推進する。公文書の調査に関しては、今後も容易には進展しない可能性があるが、協力を仰ぐ専門家の幅を多方面に広げる対応策をとることにより、可能な限りの調査を実施する予定である。また、こうした史資料調査に並行して、研究成果をまとめる作業を進め、国際会議での報告と、学術誌への投稿を目指す。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題では、次年度に、第1次インドシナ戦争期の各種刊行物と、後年に刊行された各地方の戦争経験に関する書籍の調査を継続する。新たに着手するのは、第1次インドシナ戦争に関する日記や回想録の調査である。また、公文書の保存と利用の状況に関する調査については、専門家の協力を仰ぎつつ可能な限り前進させる。なお、平成23年度には、1回の調査旅行で充実した調査を実現することで旅行回数を減らし、また、謝金経費を節減した結果、使用残額が生じた。この残額は、平成24年度において、調査の多面化を図る上で増額が予測される出費に使用する。すなわち、調査期間の長期化に伴い増額予定の旅費や、公文書専門家の協力の多岐化に伴い増額予定の謝金に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] The Governance of Mountainous Borderlands in Northern Vietnam during the First Indochina War2011

    • 著者名/発表者名
      平山 陽洋
    • 学会等名
      Border Regions in Transition (BRIT) XIth Conference
    • 発表場所
      Université Joseph Fourier (France)
    • 年月日
      2011年9月9日
  • [学会発表] ベトナムにおける『戦争文学』というメディア2011

    • 著者名/発表者名
      平山 陽洋
    • 学会等名
      世界文学研究会
    • 発表場所
      北海道大学スラブ研究センター(北海道札幌市)
    • 年月日
      2011年6月14日

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公開日: 2013-07-10  

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