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2012 年度 実施状況報告書

第1次インドシナ戦争期の北ベトナムでの総動員体制の構築と冷戦の影響をめぐる研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730128
研究機関北海道大学

研究代表者

平山 陽洋  北海道大学, スラブ研究センター, 学術研究員 (80570986)

キーワードベトナム / 第1次インドシナ戦争 / 東南アジア / 冷戦史
研究概要

平成24年度には、ハノイと東京で、史資料調査を実施した。ハノイでは、第1に、第3国家公文書館にて、越北連区(第1次インドシナ戦争期にベトナム民主共和国中央政府が設置された地方)における地方政府公文書ファイル目録全8冊のうち3冊を通覧し、戦時動員が実施されるにあたっての、中央政府と地方政府の関係に関する公文書ファイル500点弱の情報(整理番号、名称、作成年、書類頁数等)を筆写した。ベトナムの国家公文書館は、現在のところ、短期間の滞在での公文書ファイルの閲覧や複写は困難な規則となっており、従って、第1次インドシナ戦争をめぐる研究で、公文書ファイルが仔細に検証された事例は少数にすぎない。そうした検証を今後地道に進展させる上で、まず目録を通覧しその情報を筆写することは、欠かせない基礎的作業としての意義をもつ。
ハノイでは、第2に、国家図書館にて、第1次インドシナ戦争期にベトナム民主共和国の政府要人を務めた人物による日記や回想録の出版状況を調査し、閲覧、撮影した。これら書籍の調査は、中央政府による戦時動員の政策決定に、中国やソ連からの指導が与えた影響の如何を知る上で重要である。第3に、昨年度に引き続き、戦時動員の実態の地方ごとの相違を政治地理学的に検討する目的で、第1次インドシナ戦争後に刊行された、地方ごとの戦争経験を記述したベトナム語書籍の収集と、地理書や古地図の収集を行った。
東京では、第1に、東京外国語大学にて、ベトナム民主共和政府が発行した官報の調査を行い、戦時動員に関連する法令を調査、析出した。第2に、アジア経済研究所にて、戦時動員の法令に関連する書籍の調査を行った。これらの調査は、戦時動員実施の法的基礎が策定される過程を知る上で重要である。現在、調査した多岐に渡る史資料の総合的な検討を進めており、その検討の成果を論文にまとめる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度には、第1次インドシナ戦争期の各種刊行物(戦時動員に関する法令を掲載した官報等)の調査、および、後年に刊行された刊行物(政府要人の日記、回想録や、各地方の戦争経験に関する書籍等)の調査は、おおむね順調に進展している。一方、公文書の調査に関しては、公文書ファイル目録を仔細に閲覧し、公文書ファイル情報を筆写するという重要な進展が見られたものの、ベトナムにおける公文書館の利用規則の問題もあり、予定よりも若干時間を要している側面がある。以上の事情を総合的に判断して、(2)の評価が妥当と考える。

今後の研究の推進方策

本研究課題では、今後、第1次インドシナ戦争期の各種刊行物と、後年に刊行された関連書籍の調査、収集を継続する。加えて、公文書の調査を可能な限り進展させる。具体的には、ハノイでの調査滞在期間を若干長めに設定し、公文書ファイル目録の閲覧を進めるとともに、昨年度に筆写した公文書ファイル500点弱の情報をもとに、公文書ファイル自体の閲覧と複写を、時間の許す限り実現する。また、こうした史資料調査に並行して、研究成果をまとめる作業を進め、国際会議での報告と、学術誌への投稿を目指す。

次年度の研究費の使用計画

本研究課題では、次年度に、史資料調査、特に公文書の調査を上述の通り進展させるために、ハノイでの調査滞在期間を若干長めに設定し、相応の旅費を充てる。また、とりまとめた研究成果をもとに、報告書を作成する予定であり、そのために印刷費等の経費を計上する。
なお、平成24年度には、謝金経費を節減した結果、使用残額が生じた。この残額は、平成25年度において、調査旅行期間の長期化に伴い増額予定の旅費に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] "The Governance of Borderlands in the process of Nation-State Building during the War of Independence in Northern Vietnam"

    • 著者名/発表者名
      Akihiro HIRAYAMA
    • 学会等名
      ABS(Association for Border Studies) 54th Annual Conference
    • 発表場所
      Hyatt Regency, Houston, USA
  • [学会発表] "The Spatial Integration of National Territory during the First Indochina War in Northern Vietnam"

    • 著者名/発表者名
      Akihiro HIRAYAMA
    • 学会等名
      4th Southeast Asia Update
    • 発表場所
      Radboud University Nijmegen, the Netherlands
  • [学会発表] 「ベトナムにおける顕彰記念の空間的形象:戦没者墓地、戦跡、博物館、記念碑」

    • 著者名/発表者名
      今井昭夫、平山陽洋
    • 学会等名
      近現代戦の表象比較研究「戦争のメモリー・スケープ」
    • 発表場所
      北海道大学(札幌市)

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公開日: 2014-07-24  

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