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2013 年度 実績報告書

社会的ジレンマを克服する政治制度の構築:民主主義が機能する政治心理学的基盤の探求

研究課題

研究課題/領域番号 23730147
研究機関早稲田大学

研究代表者

荒井 紀一郎  早稲田大学, 政治経済学術院, 助教 (80548157)

キーワード政治心理学 / 社会的ジレンマ / 政治参加 / 日本政治
研究概要

平成25年度は、まず前年度に実施した実験にて、有権者の政策選好と仮想の政治的なイベントとの相互作用によって民主主義システムに対する満足度が変化することが明らかになったため、具体的な政策選好の多様性を測定し、実際の政治イベントが発生した後に再度同じ政策についての選好を測定し、その変化を分析した。分析の結果、有権者の性別や年代といった属性の違いによって、政治イベントへの反応が大きく異なることが明らかになった。属性の違いがもたらす反応の大きさの違いは、有権者が保持している態度(保革イデオロギー位置など)や政治的洗練性の違いがもたらす反応の大きさの違いよりも明確にあらわれており、今後、追跡調査を実施することで政治イベントによって有権者の選好が形成・変化していく過程を明らかにすることができると考えられる。この成果は、平成25年8月に開催されたAPSAの年次大会で報告をおこなうとともに、国内の学術誌に掲載された。本研究課題によって得られた知見をまとめると、社会的ジレンマにおかれた有権者の行動とその帰結から形成される行動習慣や政治的態度は、以下3つのパターンに分類することができる。まず、自身の政策選好どおりに行動する市民が選挙での勝利を経験していくと、彼らの党派に対する帰属意識が高まるとともに、民主主義的な政治システムに対する満足度が上がり、習慣的に政治的活動に参加するようになる。しかしながら、同じように自身の政策選好どおりに行動しても、若い頃に選挙での勝利を経験できない市民は習慣的棄権者となり、党派に対する帰属意識や民主主義システムへの満足度などが下がってしまう。最後に、勝ち馬に乗ろうとして自分の政策選好とは異なる行動を選択した市民については、政治的態度に大きな変化はなく、特定の行動が習慣化されることもない。これらの研究成果は、学術書としてまとめられ平成26年2月に刊行された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 日本人はどの程度武力行使に前向きなのか?:尖閣諸島有事シミュレーションを用いた選択実験2014

    • 著者名/発表者名
      荒井紀一郎・泉川泰博
    • 雑誌名

      レヴァイアサン

      巻: 54 ページ: 28-47

  • [雑誌論文] 民意のベースライン-新聞報道による議題設定効果の測定-2014

    • 著者名/発表者名
      荒井紀一郎
    • 雑誌名

      年報政治学

      巻: 2014年度第I号 ページ: 105-123

  • [雑誌論文] 『ねじれ』状況下における業績評価と投票行動2013

    • 著者名/発表者名
      今井亮佑・荒井紀一郎
    • 雑誌名

      選挙研究

      巻: 29-1 ページ: 87-101

  • [学会発表] 政党システムの変容と政策対立軸の変化2014

    • 著者名/発表者名
      今井亮佑・荒井紀一郎
    • 学会等名
      日本政治学会
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      20141011-20141012
  • [学会発表] How Pacifist Are They Really? Experimental Studies of the Japanese Public's Attitude toward Use of Force Concerning the Sino-Japanese Territorial Dispute2013

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Izumikawa and Kiichiro Arai
    • 学会等名
      2013 APSA Annual Meeting & Exhibition
    • 発表場所
      Chicago, USA
    • 年月日
      20130829-20130901
  • [図書] 参加のメカニズム-民主主義に適応する市民の動態2014

    • 著者名/発表者名
      荒井紀一郎
    • 総ページ数
      184
    • 出版者
      木鐸社

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公開日: 2015-05-28  

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