研究課題/領域番号 |
23730152
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
孫 京美 立命館大学, 政策科学部, 助教 (40425020)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / タイ / 韓国 / 政策実施過程 |
研究概要 |
政策をより良く展開するためには、それをどのように始めればいいのかの疑問に答えるために、本研究では、地方政府の政策実施過程における特徴を様々な国で実施されている一村一品運動の地域活性化施策を事例として、国際比較によって明らかにすることを目的としている。具体的には、地方政府の政策開始時の特徴を明らかにするためのタイポロジー分析の枠組みを用いて日本、韓国、タイ、ベトナムの比較を行う。それによって政策のより良き展開につながる施策実施が、それぞれの国の行政過程に見られる文化的背景に左右されることを検証する。研究実施計画にしたがって当該年度は、主にベトナム、タイ、韓国で以下のリサーチなどの研究活動を行なった。ベトナムでは、農業産業省の一村一品運動政策の責任者にヒアリング調査を行なって、一村一品運動政策の展開に関する詳細を確認することができた。加えて、一村一品運動政策を実施して地域活性化活動を行なっている現地視察も行った。タイでは、まずコンケン大学で実施されたJICA第3国研修プログラムに参加して、コンケン県が行なっている一村一品運動政策の内容の情報を得た。加えて、コンケン県の一村一品運動政策の担当責任者にヒアリング調査を行なった。また、バンコクで開催されたAPEC会議(グローバル一村一品運動)に参加し、アジア諸国で実施されている一村一品運動政策の今後の展開の可能性をも知ることができた。次に、タイの経済産業省やコミュニティ開発局を中心に、中央政府での一村一品運動政策の展開に関するヒアリング調査を行なった。また、韓国では、江原道で一村一品運動政策の形成及び実施に関わっている研究所の担当者へのヒアリング調査を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の研究活動によって、政策実施過程に見られる各国の文化的背景を知るために、本研究の交付申請書にある分析枠組みに関する指標がより明確になるとともに、分析枠組みをより具体化するための方策も見つかった。政策のより良い展開につながる施策の実施がそれぞれの国の行政過程の文化的背景に左右されることを検証する本研究の目的の達成の初年度は、順調に進展していると評価できる。本研究の実施期間は、3年間である。初年度の計画は主に、研究対象の数ヶ国でのリサーチを実施し、本研究における分析枠組に関する指標の作成に努めることであった。この計画通りに研究活動が進んでおり、特にタイでのリサーチによる分析枠組みの精緻化を日本との比較分析を視野におきつつ行った。その結果、分析枠組みの検討には、官僚機構の施策実施の行動様式(政策文化)を総合的に捉えることの重要性が分った。そのような研究の方向はベトナムおよび韓国でのリサーチからも確認できたものであった。本年度の研究は確実に次年度につながるものであった。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえて、次年度には研究実施対象の日本、韓国、タイ、ベトナムの4カ国での分析枠組みのための指標の抽出を終え、仮説検証への4カ国比較を本格的に開始する。そこでは一村一品運動政策を展開するための官僚機構の施策実施の行動様式を、政策の開始から終了もしくは継続まで視野において総合的に分析する予定である。まずは、タイでの行動様式を示す政策文化との比較を念頭におき、日本での官僚機構の行動様式の分析を行う。その研究成果を「日本の官僚機構の施策実施における行動様式についての一考察」の研究として発表する予定である。この研究を分析枠組みの土台にとして、次年度でのリサーチ及び4カ国の比較分析を行い、最終年度の研究報告書の作成へとつなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は、日本の大分県と韓国でのリサーチを中心に行なう。それによって文化的背景と施策内容の特徴を明らかにし、4ヶ国比較の分析を推進する。韓国では、韓国地方行政研究院を拠点にして研究を行なう予定である。また、今年度に続いて江原道の一村一品運動政策の関係者とのリサーチを計画している。加えて、タイでの文化的背景と施策内容の特徴を明らかにするためのリサーチも予定している。研究費の使用計画の中心は、これらの出張旅費及びそのリサーチ関連経費である。加えて、分析枠組みとそこでの分析指標に沿った4ヶ国の官僚機構の行動様式が示す政策過程の文化的背景の比較分析のために、研究協力者の大学院生等への謝礼の経費を用意している。
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