研究課題/領域番号 |
23730152
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
孫 京美 立命館大学, 政策科学部, 助教 (40425020)
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キーワード | 国際情報交換 / 官僚機構 / 行動様式 / 政策実施過程 / 一村一品運動 / タイ / ベトナム / 韓国 |
研究概要 |
政策をより良く展開するためには、それをどのように始めればいいのかの疑問に答えるために、本研究では、地方政府の政策実施過程における特徴を様々な国で実施されている地域振興政策の一村一品運動施策を事例として、国際比較によって明らかにすることを目的としている。 平成23年度は本研究における分析枠組に関する指標の作成のために、日本、韓国、タ イ、ベトナムでリサーチを行った。その研究活動から官僚機構の行動様式が政策展開での施策の特徴を見る指標になる可能性が見えた。平成24年度はさらに、文化的背景と施策内容の特徴を明らかにするための研究実施計画にしたがって、主にベトナム、タイ、韓国で以下の研究活動を行なった。ベトナムでは、研究協力者であるタイのタマサート大学の研究員二人と共にホーチミンのJICA事務所でのヒアリング調査、Hochiminh city university of technologyでのヒアリング調査を行った。タイでは、タマサート大学が主催した国際シンポジウムで発表をした。加えて、タイ政府が主催して様々な国の政府関係者が出席したOVOP/OTOP International Seminarに参加し、アジア諸国で実施されている一村一品運動施策の現状とタイの新たな施策展開の可能性を知ることができた。韓国では、韓国の行政についての研究拠点にもなっている韓国地方行政研究院の協力を得て、江原道の企画担当部局と一村一品運動施策を担当している農漁村政策課で一村一品運動施策の実施に関するヒアリング調査ができた。加えて、江原道で一村一品運動施策を進めた前知事にも政策開始及び政策実施に関するヒアリング調査を行った。 これらの具体的な研究活動は、官僚機構の行動様式が施策実施の特徴を左右する要因になる可能性を確認するために、有意義があった。それは本研究における仮説検証につながるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度には、本研究の交付申請書にある分析枠組に関する指標として官僚機構の施策実施の行動様式(政策文化)が重要であることを明らかにした。仮説の検証へと向かう本年度は、官僚機構の施策実施の行動様式から、日本とタイの比較を中心に行ない、分析枠組の指標としての官僚機構の行動様式の有用性を確認し、さらに、韓国やベトナムでの比較分析のための有用性を検討するために、両国でのリサーチを行い、仮説検証の可能性を探った。その研究成果を3本の論文で公表し、国内外での二つの発表を行った。このように次年度につながる成果を出せている点で、2年目の研究も順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえて、次年度には仮説検証のために、官僚機構の施策実施の行動様式に関わる指標をより整理して、地域振興政策の一村一品運動施策の展開での日本、韓国、タイ、ベトナムの4ヶ国比較を行う。それによって政策のより良き展開につながる施策の特徴は、それぞれの国の行政過程における官僚機構の行動様式(文化背景)に左右されることを検証する。そのために、次年度では4ヶ国比較の分析を行いながら、さらなるリサーチを通じて仮説検証のための実証分析をより精緻にするための不足部分を補う。それらによって、最終年では研究報告書を作成するが、合わせてその研究成果を孫京美『比較行政分析(仮題)』(平成26年2月出版予定)の中で発表する予定である。この著書の経費は本研究経費とは別のものである。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費の使用計画は、研究成果をまとめてその発信をすることと、リサーチを通じて仮説検証のための実証分析をより精緻にするための不足部分を補うことである。そのために、不足している部分のための現地調査や資料収集を行う計画である。研究費の使用計画の中心は、それらのリサーチのための出張費及び資料収集・整理の関連経費である。そこでは、最終まとめのためのデータ処理アルバイトに対しての大学院生への謝礼や研究協力者の経費も含まれている。加えて、本研究での知見の発表及びここでの4ヶ国比較以上に知見の適用対象国を拡大できるようなセミナーや国際学会への参加や共同リサーチのための出張も検討している。また、本研究の成果を、立命館大学の政策科学部が構築するケーススタ―ディのデータアーカイブ及び国際一村一品政策学会のデータアーカイブ(英語版)を通じて公開し、国際的に発信する予定である。
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