本研究の目的は、政策のより良き展開につながる政策開始時の要件を探ることである。そのために、地方政府の政策実施過程における特徴を、様々な国で実施されている一村一品運動の地域活性化施策を事例として、明らかにしようとした。研究方法は、日本、韓国、タイ、ベトナムの4カ国の比較であり、研究実施計画にそって行った各国でのリサーチとそこで得られた資料を、本研究で提起するタイポロジー枠組みで分析することが中心であった。 平成23年度は、研究の分析枠組の指標を作成することが主な目標で、特にタイでのリサーチによる分析枠組の精緻化を日本との比較分析で行った。その結果、分析枠組の検討には、行政機構の施策実施の作動様式を総合的に捉える重要性がわかった。その研究の方向性はベトナム及び韓国でのリサーチからも確認できる。その研究成果を、論文として発表し、以降の研究の基本とした。 平成24年度は、研究リサーチなどにおいてこれまで連携を深めてきた大学や研究院との共同の推進には可能性を探った。具体的なことには、韓国地方行政研究院に基盤を置きながら韓国での共同研究の推進につとめた。加えて、タイのタマサート大学が主催した国際シンポジウムで発表を行うことで、研究成果の国際発信も行った。 平成25年度は、リサーチを中心にするよりは、もっぱら研究成果のまとめとその発信をすることにあてた。研究成果をまとめながら、最終の確認作業として日本でのリサーチを行うとともにベトナムのハノイ市主催のセミナーで発表を行った。この研究で得られた一番の成果は、松岡京美『行政の行動-政策変化に伴う地方行政の実施活動の政策科学研究』晃洋書房、2014年であり、特に4章「地方政府の政策実施の開始における特徴」にはその成果が端的に示されている。
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