研究課題/領域番号 |
23730155
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
西山 隆行 甲南大学, 法学部, 教授 (30388756)
|
キーワード | 犯罪 / 連邦制 / アメリカ政治 / 移民 / 銃規制 / 麻薬 / 社会秩序 / 市民的自由 |
研究概要 |
2013年度はアメリカの犯罪政策と連邦制の関係について、理論と実証の双方から研究を実施した。 犯罪政策、連邦制の両方に関連する研究業績としては、不法移民対策との関連で、アメリカ学会で「移民政策と国境問題―麻薬、不法移民とテロ対策報告」、また上智大学で行われた研究会で「アメリカの国境管理政策―麻薬、不法移民、テロ対策」と題する報告を行った。アメリカでは誰を移民として入国させるかに関する決定を連邦政府が行う一方、入国した人々に対する具体的対応は地方政府が担うことになっている。両者の方針のズレが犯罪をめぐる政治過程に及ぼす影響を解明した。そして、その二つの報告をまとめる形で、「アメリカの移民政策における安全保障対策と不法移民対策の収斂」と題する論文を『甲南法学』に執筆した。 犯罪政策については、市民的自由との関連に力点を置きながら、「アメリカにおける社会秩序と市民的自由」と題する論文を『甲南法学』に執筆した。社会秩序形成と市民的自由というしばしば矛盾する問題が、どの様に処理されてきたかを解明した。 連邦制に関する原稿も、杉田米行編『アメリカを知るための18章』(大学教育出版)、鎮目真人・近藤正基編『福祉国家の比較分析』(ミネルヴァ書房)という二冊の論文集への寄稿を依頼されて原稿を発表した。連邦制に関する先行研究は財政的側面に関するものが大半であり、連邦制が政治過程にもたらす影響についての考察が不十分であるため、本プロジェクトで連邦制について検討を重ねた成果を踏まえて執筆を行った。 2013年度内に活字になった主な実績は以上だが、それ以外にも資料の読み込み等は継続的に実施しており、現時点で、(1)とある研究論文集に寄稿する予定の原稿、(2)銃と麻薬政策に関する単著の準備を進めており、本プロジェクトの最終年度に研究成果をまとめるための準備を着々と進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2013年度中に学会、研究会報告を複数回行うとともに、その成果の一部を学術論文として複数本刊行している。その他、まだ成果を報告していない内容についても、本格的な学術論文と、単著の研究書を執筆する方向で出版社と交渉中であり、実際に原稿の執筆も進めている。研究プロジェクトの最終年度である2014年度中に、当該論文と研究書を刊行できるよう調整中であり、おおむね研究は順調に進展していると判断できる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究プロジェクトの最終年度にあたる2014年度は、これまでに積み重ねてきた調査の成果を体系化して学術論文、研究書としてまとめることになる。出版社と研究書に関する出版企画を詰めているが、出版社が一般読者も読みやすいタイプの書籍としてまとめることを希望しているため、場合によっては、書籍に加えて、さらに何本かより本格的な学術論文を執筆することも念頭に置いて研究を遂行せねばならないかもしれない。
|