研究課題/領域番号 |
23730162
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大林 一広 一橋大学, 大学院法学研究科, 講師 (30598149)
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キーワード | 反乱軍 / 組織 / 内戦 / 平和構築 / 計量分析 |
研究概要 |
内戦時の反乱軍の組織と内戦終了後の和平期間について分析した論文を『国際政治』で発表した。平和構築や内戦後の和平期間に関する既存の計量分析は、国際連合等の国外アクターの役割や内戦当事国の構造的特徴、戦後の国内制度等が内戦終了後の和平期間に影響を与えると指摘する。それに対して、終了した内戦の一方の当事者であった反乱軍の組織的特徴が戦後和平に与える影響については、あまり研究がおこなわれていない。しかし、平和構築のプロセスにおいて、反乱軍はその成否の鍵を握る重要なアクターである。反乱軍は、平和構築の成功のカギとなるローカルな情報や社会ネットワークを保持している場合が多い。また、反乱軍は武装しているため、平和構築プロセスを妨げる効果的なスポイラーとなるリスクもある。そこでこの論文では、内戦終了時の反乱軍の組織的特徴が平和構築の成否に影響を与える、との仮説を立てた。その上で、仮説の妥当性を検証するために、1950年から2004年の間の内戦の終了事例をサンプルとして、計量分析を行った。また、International Studies Association(ISA)の年次総会で研究報告を行った。欧州の内戦研究の進捗状況の確認や欧州の研究者との連携のため、International Studies Association (ISA)とPeace Science Society (International) の合同学会への参加等を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、南スーダン共和国での現地調査、内戦関連定量データの計量分析、研究成果の学会での報告、そして研究成果の学術雑誌での発表を予定していた。このうち、定量データの分析と研究成果の学会での報告、研究成果論文1本の学術雑誌での発表は完了した。しかし、南スーダンでの現地調査については、現地の治安状況が悪化し、渡航を見合わせざるを得なくなった。平成25年度が事業最終年度であったため、研究の遅れについては、科学研究費助成事業(学術研究助成基金)補助事業期間承認申請書を提出し、1年間の期間延長が認められた。
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今後の研究の推進方策 |
南スーダンの治安状況が回復すれば、現地に渡航し調査を行う。しかし、治安が不安定な状況が続けば、調査地を南スーダンからウガンダへ変更する。当初計画では、スリランカ、南スーダン、ウガンダの3か国で現地調査を行う予定であったが、資金面での制約から、平成24年度に行う予定であったウガンダの現地調査を断念した経緯がある。このため、調査地をウガンダへ変更することは、当初の研究計画の趣旨にかなう。同時に、引き続き内戦関連データの計量分析を行う。研究結果に基づいて論文を執筆し、学術雑誌に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、南スーダン共和国での現地調査を予定していたが、現地の治安状況が悪化し、外務省の海外安全ホームページでは退避勧告が出された。このため、現地への渡航を見合わせざるを得なくなり、未使用額が発生した。 南スーダンの治安状況が回復すれば、現地に渡航し調査を行う費用に充てる。しかし、治安が不安定な状況が続けば、調査地を南スーダンからウガンダへ変更する。当初計画では、スリランカ、南スーダン、ウガンダの3か国で現地調査を行う予定であったが、資金面での制約から、平成24年度に行う予定であったウガンダの現地調査を断念した経緯がある。このため、調査地をウガンダへ変更することは、当初の研究計画の趣旨にかなう。また、上記調査の結果を踏まえて論文の執筆と投稿を進める。その際、英文校正等の費用に充てる。
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