社会現象をモデル化するに際し、行為者が絶対利得のみを考慮することを暗黙のうちに前提とする例が多い。しかし、現実世界においては、相対利得を考慮する事例も幅広く見られるという事実がある。そこで、モデル化に際して、どのような条件のときに、相対利得を考慮する必要性が高いのかを、シミュレーション分析を用いて検証した。 検証の結果、「システム内の行為者数」、「交流範囲(同時に対戦する相手の数)」および「動態的変化の性質(過去に好成績を修めた行為者が、将来有利になるか不利になるか等)」といった条件の組み合わせによっては、相対利得を考慮に入れる必要性が高い場合があることが示された。
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