研究課題/領域番号 |
23730169
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
和田 洋典 青山学院大学, 国際政治経済学部, 助教 (70554864)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 国際情報交流 / イギリス / 中国 |
研究概要 |
2011年度にはまず、本プロジェクトの導入部に当たる国内経済制度とグローバル化の相互作用に関して集大成の段階と位置づけられる研究を行なった。そこでは、グローバル化を受けて、日本の開発主義的な金融システムがいかなる変容を迫られたかについて、第二次世界大戦以後の歴史的経緯を分析した。それにより得られた主要な理論的知見は、金融システムの推移が、アングロ・アメリカモデルへの変容を促す技術経済的ない要因と歴史的に形成されたオリジナルの特徴を経路依存的に保たせようとする国内制度要因の相克として理解可能だというものである。成果について日本比較政治学会(2011年6月 於:北海道大学)で発表したうえで、著書『制度改革の政治経済学』(有信堂)として出版した。また本プロジェクトに係る理論面での文献調査を進め、その成果について、日本国際問題研究所にて開催された研究会(2011年7月)で発表した。そのうえで金融規制監督レジームの非公式性について、アメリカの国内制度の歴史的発展との関係に着目して、紀要論文「金融規制監督レジームはなぜインフォーマルか」をまとめた。この紀要論文においては、グローバルな金融規制監督レジームの態様を規定するのが政府間外交ではなく、アメリカの国内制度を原型としたモデルが市場および市場を通じて行使される力を通じ、世界標準化するという理論枠組みを提示することができた。これは本プロジェクトの基本となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
授業負担が若干増加した関係で、幅広い文献調査及び海外研究者との情報交換のため当初実施を予定していた海外出張を行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
金融規制監督レジームが主要各国にどの程度の拘束を課しているかを明らかにする観点から、中国の金融システム改革について調査を進める。中国は一般に既存の米欧中心のグローバルガバナンスに批判的であるとされながら、本プロジェクトの主たる関心対象であるバーゼル委員会などの銀行規制問題については、積極的に模倣する姿勢をみせるなど、矛盾する方向性を抱える点で興味深い事例であるといえる。その成果については、日本国際問題研究所における研究会や中央大学において開催予定の政治学研究会などの場を活用して発表し、フィードバックを得る予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
費用の大きいものとしては2件海外出張を行う予定である。1つは夏期休暇中に予定するロンドン政治経済学院(LSE)における資料収集および研究者との交流である。もう1つは、企画案が採用されることが前提となるが2012年度末にサンフランシスコで開催される予定の国際関係学会(ISA)における発表である。その他、文献収集にも使用する。
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