グローバルな統合が進む金融市場のに係る国際ガバナンスは非公式な形態にとどまる。代表例としてはG7/20等Gグループやバーゼル銀行監督委員会がある。本研究では,非公式な制度形態の継続を説明する要因として力と規範が生みだす階層性を理論枠組みとして提示した。非公式な国際ガバナンス構造では米欧主要国は階層性の上部に位置する〈規範の供給者〉の役割を果たす。それらの国は懸案への対処に当たり,他国に政策選択について教示する側に立つ。それに対し,中国などのアジア新興国は〈規範の需要者〉として,米欧の提示する規範を取り入れる立場にある。本研究で明らかになったのは非公式性とこうした階層性が親和的であることである。
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