本研究は、ウガンダを事例に、国際的な政策スキーム下に展開されるガバナンスの解明を目指すものである。当初は、貧困開発戦略文書(PRSP)体制とHIV/AIDS対策の交錯を通じて生み出されるガバナンスを扱う予定であったが、両者を関連づけた分析が予想以上に困難であると判明したため、対象をHIV/AIDS対策に絞ることにした。その上で、HIV/AIDS対策の下に、多様な行為主体が、領域を跨がる形で、多次元に展開する政策空間に参加し、多くの中心を持つ「多中心的ガバナンス」が形成されていることを、その特徴、それが政策運営に及ぼす影響、そこにおける権力作用、の3点についての分析を通じて明らかにした。
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