• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実施状況報告書

大メコン圏における生活者の政治的行為と国家管理の研究

研究課題

研究課題/領域番号 23730172
研究機関早稲田大学

研究代表者

峯田 史郎  早稲田大学, アジア研究機構, 招聘研究員 (70546316)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード大メコン圏 / メコン河 / 国境 / 政治地理学 / スケールの政治
研究概要

本研究は、国家スケール主導の大メコン圏(GMS: Greater Mekong Subregion)開発プログラムがもたらす社会変化に注目し、生活者自身が生活領域を確保するため、積極的に生活領域の確保に携わる実態の分析を、非国家行為体の活動を通じて検証することを目的としている。2011年度には、8月初旬までタイ・チェンマイ大学に客員研究員として滞在し、国家とローカル双方の視点から専門知識の提供を受けた。並行して、「生活者が創り出す地域」を観察するため、下記の複数の調査を実施した。総じて理解できたことは、国家主導型開発と生活者の領域との重複と乖離が同時進行し、重層的な形で地域を形成していることである。 1、4月29日~5月12日に(ラオス・ルアンナムタ、ムアンシン/中国・景洪、昆明にて、生活者が実際に利用する公共交通機関を利用しながら、「ラオス―中国国境貿易」および「アジア開発銀行GMSプログラム南北回廊建設がもたらす生活者への影響」についての現地・聞き取り調査を実施した。雲南大学では、民族学研究所にて、少数民族に関連する非伝統的安全保障についての情報提供を受けた。2、7月29~8月2日には、タイ・メーソットにて、「タイ―ミャンマー国境における難民への医療ケアおよび教育援助についての調査」を実施した。3、12月8~11日には、タイ・チェンマイで開催された国際会議で「メコン河水資源管理への中国の影響」を主題に研究報告するとともに、チェンコンにて「タイ―ラオス国境にて建設中の第3友好橋建設現場周辺の社会変化についての調査」を実施した。4、2012年3月26日~4月14日には、「各国境周辺における中国の社会文化的影響についての調査」(タイ・チェンマイ、ナコンパノム/ラオス・フェイサイ、ウドムサイ、ムアンクア/ベトナム・ディエンビエンフー、ラオカイ/中国・河口)を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記の現地調査を通じて、申請書内で予定していた「生活者が国家と異なる次元で地域を形成していく過程」の観察、専門知識収集は順調に進展している。その調査結果の経過報告として、2011年12月に開催されたチェンマイ大学政治行政学部主催シンポジウム、北海道大学スラブ研究センター主催シンポジウムにて研究報告を実施した。

今後の研究の推進方策

国家主導型開発下の社会環境の変化に左右される生活者だけではなく、その生活者をサポートする市民社会にも注目して、この地域の複雑性を理解する方法を提起する。大メコン圏において、ローカル・国家・グローバルスケールが有機的に連結する過程、および生活者の政治的行為を考察し、ロバート・D・サックの提唱する「人間の領域性」を明らかにしたい。 本研究では、物理的領域内には、スケールの異なる複数のアクターが、地域を形成していることを調査を通じて示している。今年度研究報告を実施した上記シンポジウムでは、中央集権的国家・権威主義的国家では、地域形成の過程で、国家のみが当該領域のアクターであるとの批判があった。この批判に対応するため、次年度以降も調査において得られた知見を積み重ね、証明を試みる。 今年度の文献の読み込み、研究領域の確定をもとに、次年度は中国国内で活動するNGOを通じて、農村部での聞き取り調査、およびメコン地域で生起する「スケールの政治」について市民社会の視点から整理するため、NGOへの聞き取り調査を重視する。特に、メコン河委員会(MRC)が活動理念として掲げる統合水資源管理(IWRM: Integrated Water Resources Management)についての各スケール間での概念の相違を分析する。

次年度の研究費の使用計画

次年度も調査を中心に研究費を使用する。下記の日程で調査を実施する予定である。 1、5月下旬:ミャンマー北東部に位置するシャン州軍(Shan State Army)が管轄する村(Loi Taileng)にて、メコン流域開発と2010年選挙後の社会変化についての調査を実施する。 2、8月下旬:中国昆明、バンコク、ビエンチャンにて、流域全体にわたった生活者の連携を促す目的で活動する「セーブ・ザ・メコン」、ローカルでのネットワークを促す「3S保全ネットワーク」、グローバル規模で活動するNGO「インターナショナル・リバー」での聞き取り調査を実施する。 3、11月下旬:雲南大学での国際会議(the 3rd Conference of the Asian Borderlands Research)への参加する。 次年度使用額(151,354円)について、今年度は8月初旬までタイ・チェンマイへ滞在していたため、当該期間の支払い請求が困難であり、私費で書籍等購入、調査を実施した。この研究費も主に調査費用として今年度使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] フィールドから--Photo Essay 国境地帯の「におい」をもとめて2011

    • 著者名/発表者名
      峯田史郎
    • 雑誌名

      ワセダアジアレビュー

      巻: 10 ページ: 4-9

  • [学会発表] China’s Impact on the Use of Water Resources in the Greater Mekong Sub-region2011

    • 著者名/発表者名
      Mineta, Shiro
    • 学会等名
      the international symposium "20 Years of Greater Mekong Sub region (GMS): "The Changes to Changes, " held by Faculty of Political Science and Public Administration, Chiang Mai University
    • 発表場所
      Centara Duang Tawan Hotel, Chiang Mai, Thailand
    • 年月日
      8-9 December, 2011
  • [学会発表] Politics of Scale in the Water Security: Impact from China in Greater Mekong Sub-region2011

    • 著者名/発表者名
      Mineta, Shiro
    • 学会等名
      北海道大学グローバルCOEプログラム「境界研究の拠点形成」主催国際シンポジウム「世界と日本のネットワークを紡ぐ」若手ワークショップ(使用言語 英語)
    • 発表場所
      北海道大学スラブ研究センター
    • 年月日
      2011年11月25―26日

URL: 

公開日: 2013-07-10  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi