研究課題
最終年度には、研究発表と研究成果のまとめに多くの精力を傾けた。具体的には、5回の国際シンポジウムおよび学会の発表を行ってきた。また、史料の編訳および分析を行った論文を発表し、英語の論文の発表にも努めた。集大成となる研究成果の発表は、来る7月5日に福島大学で開催される研究会で発表する予定である。研究期間中、一年目は精力的に資料調査を行い、二年目は対外援助の供与対象国への現地調査を行い、三年目は研究成果のまとめに努めた。これらの研究活動を通じて、以下のような成果を成し遂げた。第一に、日中両国の対外援助の実態をできるかぎり明らかにした。1950年から2010年までの中国の対外援助の年度別金額、援助規模(財政支出比)、供与対象国金額、援助形態(無償か有償か)、供与分野などの内容から、関係データベースを作成した。第二に、これらのデータにより、対外援助の歴史変遷の軌跡をたどり、対外援助の形態、量と質の問題、および対外援助の供与地域などをある程度明らかにすることができた。第三に、日中の対外援助の政策目的およびその政策効果の比較を試みた。対外援助が日本にとっても中国にとっても重要な対外政策であることは共通しているが、政策目的およびその効果は、大きく異なることが確認できた。1978年までの中国の対外援助は、「外交」より「革命」の側面が強く、失敗に終わるのが明らかであった。1990年代以降中国の対外援助は大きく変質し、日本の「外交型」の政府開発援助に似通ってきていると言えよう。この研究成果には以下のような意義があると考えられる。ベールで包まれる中国の対外援助の実態をできる限り明らかにしたことは、中国研究に貢献できた。日中の対外援助の比較研究は、国家間の「助け合い」とは何かを考えることに資し、国際協力論研究に貢献できた。
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『冷戦国際史研究』
巻: 16 ページ: 319-371頁
The Journal of Contemporary China Studies
巻: Vol.2, No.1 ページ: pp.77-94
http://www.china-waseda.jp/wiccs/