研究課題/領域番号 |
23730179
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
陳 慶昌 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 助教 (50569788)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | China threat / identity / security policy / social constructivism / Taiwan / threat perception |
研究概要 |
研究プロジェクトは順調に進み、予定通り予算を執行した。2011年度の主な目的は、(私の博士論文に基づく)3つ事例研究の章の文献を更新し、新たに追加する章には、データ収集を行い、馬英九政権下で台湾の国家安全保障対話の変化と連続性を調べることであった。7冊の英語の文献を購入し、台北で生産的なフィールド調査(2011年12月28日~2012年1月8日)を実施し、データ収集とインタビューを行った。台湾の大統領選挙と議会選挙の直前というタイミングだったため、私は中華民国総統府の近くで大規模な集会を見ることができ、また印刷物または電子媒体の両方で豊富な政治ニュースを入手できた。さらに中央研究院研究員2名、国立政治大学教授2名、サードパーティのスポークスマンに会い、意見交換を行った。アジア太平洋地域における米国のプレゼンスに関連する台湾の安全保障政策についての講演に招かれた際、研究成果の一部をシンガポールで立命館アジア太平洋大学とRajaratnam School of International Studiesが共同開催した会議で発表した(2011年12月2日)。さらに、どのようにして、そしてなぜ冷戦後の台湾で中国は経済的脅威とみなされてきたのかについて、「New Thinking about the Taiwan Issue: Theoretical Insights into Its Origins, Dynamics, and Prospects, edited by Jean-Marc. F. Blanchard and Dennis V. Hickey (London: Routledge, 2012)」の中で、一つの章を担当し、出版された。2013年半ばに、私の著書の原稿執筆を完了する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述したように、2011年度に実証的資料を更新し、新しい事例研究の章を書き始める予定にしていたが、これらの目標は達成した。7冊の英語の書籍を購入し、台北で生産的なフィールド調査(2011年12月28日~2012年1月8日)を実施し、データ収集とインタビューを行った。さらに、2011年12月にアジア太平洋地域における米国のプレゼンスに関連する台湾の安全保障政策について、シンガポールでの講演に招聘された。これは前述の新しい事例研究に関連している。最後に、どのように、なぜ中国は冷戦後の台湾で経済的脅威とみなされてきたのかに関する私の研究が、2012年3月のRoutledge出版の本で、一つの章となる形で出版された。つまり、進捗状況に関しては特に懸念がない。
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今後の研究の推進方策 |
私の研究計画に大きな変化はなく、現在の計画に従い研究を進める予定である。2012年8月から本の原稿の執筆に専念する予定で、授業のスケジュールを変更する許可を所属機関から得たので、2012年12月と2013年1月に執筆に費やす自由が増やせればと思う。前述のとおり、2013年半ばに、原稿の完成版を作ることを予定している。すでに2011年に、「The Stanford University Press Studies in Asian Security Series」の共同編集者と著書に関する提案について話し合っており、書き終えたら、査読のためにSUPに原稿を提出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2012年度の予算のほとんどは、米国サンディエゴでの「The International Studies Association」の年次大会(4月1日~4日)に出席するために使用した。そこで最後の事例研究の章に基づく論文を発表した。この出張の主な目的は、進行中の仕事にさらなるフィードバックを得ることであった。ISAは私の専門分野では世界最大の学術団体であり、その年次大会は私のプロジェクトについてより多くの聴衆と議論する良い機会である。現在の馬政権下における台湾安全保障政策の変化と継続性に関する私の論文で、大陸起源であり、外観的には中国びいきとされながらも国民党政府は、中国と反対に定義される台湾の政治的アイデンティティを推進し続けていることを論じる。この点において、台湾のアイデンティティ形成のパターンは中国を他者として扱っていた前政権と前々政権であった独立派政権のそれと異なるものではない。このことが示すのは、どの政党が政権についていようとも、私の著書の主な仮説(台湾の安全保障政策は、台湾の分離したアイデンティティを作り出し、そして再生産するという境界線描画を繰り返しているとみられる)が有効なままであることである。残りの予算は私のプロジェクトに関連する新たに出版された書籍の購入に当てる。2011年度からはわずか6,488円が残ったが、これはこの資金と合わせて、今年、新しい書籍を購入したいと思ったためである。
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