政治体制の変動と国連PKOへの軍隊・警察の提供の関連についてアフリカの事例を中心に研究を行った。最終年度の平成25年度は、①これまで収集した資料を整理し、研究として出版すること、および、研究が不十分であった平成24年度分のルワンダに関する追加の研究を行うこと、の2点を実施した。 ①では、南アフリカ共和国のポストアパルトヘイト期のPKOへの参加の様態についてとりまとめ、久保田徳仁「南アフリカ共和国のPKOへの参加―アパルトヘイト後の政策変更―」『防衛大学校紀要(社会科学分冊)』第107輯として出版した。この論文では、民主化に伴う国際協力の活発化として説明されがちで、そのタイミングが説明されてこなかった南アフリカのPKOの参加を、国内の省庁間政治とマンデラ元大統領のアフリカにおける紛争解決関与の二つの側面からとらえなおすことでより明確に過程をとらえることに成功した。 ②では、ベルギーのアントワープ大学大湖地域研究センターに赴き、ルワンダに関する資料収集を行うとともに、今後の研究の発展の方向性について助言を受けた。権威主義体制下のルワンダにおいてインタビューを基軸とした現地調査には限界があり、研究のボトルネックとなっていたが、亡命ルワンダ人の利用や、ルワンダのラジオ放送の書き起こしデータの利用によってこうした問題点を克服可能であることが判明した。概念整理のためにいくつかの小規模の勉強会で研究成果の発表を行ったが、より一般的なインプリケーションを出すためにコントロールされた比較事例研究を行う必要が判明した。これは今後の課題である。ルワンダのPKO政策については、引き続き資料の取りまとめを行い、論文として出版する予定である。
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