研究課題/領域番号 |
23730182
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀井 亮 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (90324855)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | プロダクトサイクル / 経済成長 / 物価 / 技術 |
研究概要 |
本研究プロジェクトの初年度である本年度は、プロジェクトの基礎となる理論の構築を行った。Journal of Economic Dynamics and Controlに掲載された論文Wants and Past Knowledge: Growth Cycles with Emerging Industriesに於いては、消費者の広汎な財への選好と技術に関する知識蓄積の相互作用により、企業の技術選択が周期的に新たなテクノロジーへと変遷していくプロセスを分析した。このプロセスはプロダクトサイクルを分析するための基礎的なフレームワークを提供しているが、厳密に言うと水平的な財の拡張を扱っており、プロダクトサイクル分析のために、今後は垂直的なテクノロジー変遷プロセスの分析に移りたいと考えている。具体的には、フォワードルッキングな要素を取り入れ、より生産性の高い技術への最適な変遷パターンを扱った研究に応用するため、今年度の研究理論の修正を胡なう。また、関連研究として、Journal of Public Economic Theoryに摩擦的な労働市場における発展の罠を理論的に説明する論文を掲載した。そのた、基礎的データ調査として国立国会図書館に所蔵されている総務省の物価基礎データ(消費者物価年年報)のうち、プロダクトサイクルによる調査銘柄の変遷を記録した消費者物価年譜の調査も開始した。但し、過去の消費者物価年譜はオンライン化されておらず、記録のされ方もシステマチックではないので、今後利用可能なデータに加工するする取り組みを進めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度開始直前に東日本大震災があり、仙台に立地する本学(東北大学)は甚大な被害を受けた。そのため、主に年度前半における業務は当初の予想よりも遅れざるを得なかった。しかし、年度の後半には複数の掲載論文が出るなど、順調な進捗を取り戻している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は理論構築と論文執筆を加速的に構築をすすめるため、海外を含む先進的研究拠点を訪れ、研究協力を得ると同時に、中間発表を通じる意見交換を進めたいと考えている。近年経済理論分野におけるトップジャーナルでの出版は海外研究者との交流・報告抜きには難しくなってきており、本件研究成果を広く発信するためにも上記海外訪問は必須のプロセスと考える。それと並行してデータの調査・構築も進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の目的のため、本年度は海外旅費にある程度の支出をしたいと考えている。それに伴う物品購入も行う。また、論文執筆を進め、海外ジャーナルへの投稿のための英文校正にも支出を行う予定である。また、データ構築のための調査旅費・人件費も必要となる。
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