最終年度では、資産価格取引実験を行い、以下の二点を検証した。 (1)被験者の認識能力の違いが、取引価格の予想及び資産取引バブルにどのように関係するか (2)被験者が過去に同じ経験をした場合に、この経験が新たな実験にどのような影響を与えるか。 こうした検証は、意思決定の帰納的アプローチを実験を通じて検証することを意図している。実際(1)では、被験者を論理能力テストによって分類し、その分類に基づいて実験を実施した。結果として論理能力のt化相グループは、相手の行動に関する不確実性(戦略的不確実性)を考慮して意思決定を行うという統計的に優位な結果を得ることができた。(2)では、主体の経験に対する依存度は大きく、主体の取引価格に対する予想は、戦略的不確実性以上に過去にどのような実現価格を観察したかに依存することを示すことができた。 このような結果を鑑みて、資産取引バブルの被験者の特性を明らかにすることができ、帰納的アプローチの理論へのフィードバックを行うための基礎データを収集することができた。
|