研究課題/領域番号 |
23730185
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 晋 東京大学, 社会科学研究所, 助教 (30553101)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ガバナンス / 公平性 / 集団的決定 / コンドルセのパラドックス / 経済組織 / 社会厚生 |
研究概要 |
平成23年度においては、研究の情報収集および基礎的な理論的研究を行った。まず、国内研究会・学会に参加し情報収集を行った。組織の研究、労働経済学、開発経済学、政治哲学、経済思想などの分野の研究者と交流を行い、さまざまな研究に関連した情報を得た。また、学内で手に入りにくい研究書を収集し、これに基づいて検討を重ねた。 こうした情報・検討を基礎として、「集団的決定の理論構造」に関する論文を書いた。すなわち、民主主義的な社会の意思決定システムに関する論文を書いた。これは、コンドルセのパラドックスに代表される民主主義の矛盾をいかに回避するかを明らかにするものである。また、こうした「社会」についての分析的枠組とみなされることの多い社会選択理論を、経営者が行っているような経済組織の集団的意思決定の道具としての発展の可能性を明らかにする論文を書いた。また、ガバナンスを検討していく上では、人間の認知システムの構造についても検討を加える必要があると考え、「類似性」と「欲望」を認知しつつ判断をする個人の意思決定に関する論文を書いた。さらに、公平な配分についての理論的研究を進めた。その他、民営化問題、顕示選好理論、不平等問題などに関する研究を進めた。 論文は英文で書いたため、英文校正が必要となった.そこで、英文校正を専門とする外部業者に依頼した.論文は改訂を重ねて、海外の査読誌に投稿を行った。 また次年度以降、シミュレーションによる分析を行う予定であるため、計算ソフトを購入し、その利用方法を習得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の理由で研究はおおむね順調に進んでいると判断した。 第1に、当初今年度に書く予定の論文は2本であったが、それより多くの研究論文を形にすることができた。 第2に、また首都圏の研究会と学会を中心として、さまざまな研究者と交流を図り、研究に関連した情報・知識を得た。 第3に、購入した図書、計算機ソフトをもとに来年度以降の研究を進めていく上で基礎となる新たな知識・技術を身に付けた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、23年度の理論的・抽象的な分析を踏まえて、より具体的な分析を行っていく予定である。特に、23年度の集団的決定の分析的枠組みに基づいて、社会における公平な配分について検討を行い、福祉国家のあり方について分析を行う。 こうした研究を遂行するために、学会参加を通じて研究者間での交流を増やしていくよよもに、定例的に研究会に参加し、また研究会を開催していく予定である。 当初予定していたよりも遠方で行われる関連したテーマの研究会が少なかったため、その分次年度使用分が生じた(186061円)。これについては、主に次年度の研究会・学会参加のための旅費として使用する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
第1に,定例研究会を開催する予定であるため、関連したテーマの研究者の招へいするために研究費を使用する。 第2に、23年度の研究成果の報告と関連研究の資料収集を兼ねて、国内学会に2回、海外学会に2回の参加を予定している。大阪で定例的に行われる経済組織に関する研究会5回に参加する。また、福井県に自治体調査のため緯度行く予定である。 第3に、「社会関係資本」「福祉国家論」「産業組織論」「計量経済学」「公共経済学」「課税理論」「環境経済学」などの書籍や、「計算機ソフトに関連した書籍を購入する。 第4に、今年度新たに研究論文を2本書き上げるが、これらの論文は英文で書くため、これらについて外部業者に英文校正を依頼するため校正費用が必要となる。海外の英文査読誌に投稿するための投稿料が必要となる。また論文の証明の確認のために、研究者に専門的知識の提供を依頼する。
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