• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

労働サーチ理論を用いたライフサイクル上の雇用・失業分析

研究課題

研究課題/領域番号 23730187
研究機関東京大学

研究代表者

藤本 淳一  東京大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (00507907)

キーワードマクロ経済学 / 労働サーチ理論
研究概要

本研究の主目的は、労働者の年齢を明示的に扱うライフサイクル・労働サーチ・マッチング・モデルを用いた雇用・失業問題の分析である。平成24年度には主に以下の二論文を通じモデルの理論・応用の両面を探求した。
Fujimoto (2012)は理論研究である。ライフサイクル・労働サーチ・マッチング・モデルにおいて離職率等が年齢とともにどう変化するかに係る先行研究は、単一の労働市場を仮定する。Fujimoto(2012)では、年齢別に異なる労働市場が存在するとの仮定下で分析を行い、単一労働市場モデルとの違いを論じている。本論文は概ね完成し、今後国際学術雑誌掲載を目指す。
共著論文のEsteban-Pretel and Fujimoto (2012)は応用研究に属し、日本労働市場での離職率等の年齢による変化につき、データ上のパターンをモデルを用い説明するものである。本論文は、企業と労働者の間のマッチの質が雇用関係開始前に判明する確率が、労働市場での経験を反映し年齢と共に上昇するとの仮定を置くことでデータを定性的・定量的に説明しており、Journal of the Japanese and International Economiesに掲載された。
(参考文献)
Esteban-Pretel and Fujimoto (2012), “Life-cycle Search, Match Quality and Japan’s Labor Market”, Journal of the Japanese and International Economies, 26(3), 326-350.
Fujimoto (2012): “A Note on the Life-cycle Search and Matching Model with Segmented Labor Markets”, mimeo

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

既に述べたように、本研究においてはライフサイクル・労働サーチ・マッチング・モデルを理論・応用面双方から探求していくことを目指している。若年者の失業など特定の年齢層に関係する労働問題は多い一方、このようなモデルを用いた先行研究は未だそれほど多くないことから、研究の重要性は高いものと考えられる。
これまでの取り組みおいて、理論・応用の両側面につき理解を深めることができ、目標に向け一定の前進を見たが、未だ未解明の問題も多数存在する。本研究の最終年度である平成25年度においてはモデルの全体像の解明につき、一層努めて行きたい。

今後の研究の推進方策

研究実績の概要で述べたFujimoto (2012)に加え、以前より取り組んでいる、(1)企業特殊的人的資本の蓄積を用いてデータ上観測される長期の生産性成長率と失業率との間の負の相関を説明したFujimoto(2007)、(2)企業が企業特殊的人的資本への投資額を掲示し、労働者と費用を共同負担する環境下では、労働者が年齢別に異なる投資額を選好する結果、年齢差別を禁ずる法規制下でも労働市場が年齢別に内生的に区分される均衡が生じうることを示したFujimoto(2010)、(3)ライフサイクル・労働サーチ・マッチング・モデル下で特に有用な動学的契約アプローチの導入時に金利を如何に内生化するかにつき理論的に考察したFujimoto(2011)、の三論文等につき、国内外での学会やセミナーでの論文発表の反応等に基づき適宜改訂を続けると共に、適切な国際学術雑誌に投稿して掲載を目指す。
(参考文献)
Fujimoto (2007): “Implication of General and Specific Productivity Growth in a Labor Search and Matching Model”, mimeo.
Fujimoto (2010): “Shared Investment and Efficiency in a Life-Cycle Labor Search and Matching Model”, mimeo.
Fujimoto (2011): “Closing Labor Search Models in Contractual Environments”, mimeo

次年度の研究費の使用計画

本研究に関連する論文につき、研究上の必要に応じて国内外の学会・セミナー等で発表を行うべく計画中であり、その際には渡航旅費や学会参加費を支出する予定である。それ以外にも、関連分野の研究者との共同研究や意見交換等、研究遂行に有用な状況があれば随時、積極的に国内外の大学・研究機関に出張することを考えている。
その他大きな支出としては、こうした国内外への出張に際して研究を円滑に継続できるように、軽量で演算性能が高いノートPCを購入するとともに、当該ノートPCでの利用のために、研究遂行に必要な数値計算ソフトウェア等を購入することを計画している。
それ以外には、研究上必要な経済学・数学等に関連する書籍を随時購入すると共に、プリンタインク等の消耗品を随時購入する。また、論文投稿に際して、英語の校閲を業者に委託する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Life-cycle Search, Match Quality and Japan’s Labor Market2012

    • 著者名/発表者名
      Esteban-Pretel, J. and J. Fujimoto
    • 雑誌名

      Journal of the Japanese and International Economies

      巻: 26(3) ページ: 1477-1504

    • DOI

      10.1016/j.jjie.2012.06.003

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi