キーワードオークション(検索連動型広告オークションともよばれる)に関するゲーム理論を用いた理論・シミュレーション分析により、現行制度にどのような合理性があるのかを明らかにする。 【研究1】これまでの研究により、上位の広告枠ほどクリック率に対しての限界収入が大きい、ということが明らかにされている。最適広告枠数の存在も、上位広告枠を強調することも、これより説明できる。この性質が通常オークション理論で想定される条件下で成立することが明らかにできた。また、最適広告枠数が広告主の人数、分布の形状などによりどのように変化するのも明らかにできた。これらの結果はディスカッションペーパーおよび『政治経済学への数理的アプローチ』勁草書房にまとめられている。【研究2】Kamijo (2010) では、入札額が秘匿された環境での入札行動についての分析はされが、入札額を秘匿にすることで検索エンジンにどのようなメリットがあるのかは議論されていない。そこで【研究2】ではKamijo (2010)で提案された入札行動と、Cary et al. (2007) が提案した入札額が公開されている環境での入札行動をそれぞれコンピュータシミュレーションで走らせ、均衡までの収束スピード、均衡に至るまでの検索エンジンの収益、などにどのような差異があるのかを明らかにした。シミュレーションの結果、入札額が秘匿されている状況では、検索エンジンの収入を上げ、広告主、特に評価値の高い広告主、の収入を下げる可能性があることが確認できた。これらの結果は国際査読雑誌へと掲載された。
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