研究課題/領域番号 |
23730203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古谷 豊 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00374885)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 経済学史 / 草稿研究 / 重商主義 / ステュアート / 財政論 / クセノポン / クセノフォン / ダヴナント |
研究概要 |
本研究はアダム・スミス等とともに経済学の成立に寄与した経済学者ジェームズ・ステュアートの財政論に関する、世界的にも未発表の草稿群について研究して研究資料として整備するものである。ステュアートは今日では最初の貨幣的経済学を樹立した経済学者として研究が盛んになっているが、ステュアート研究にとって現在その膨大な草稿群が未解読のまま残されている点が障害になっている。古谷は平成16年度より系統立ててこの解読・資料化の作業に取り組んできた。その過程で、ステュアートの経済理論の重要な部分を成す財政論について、9点の未発表草稿があることを明らかにしてきた。これらは個別資料としても重要であることは勿論だが、まとまった形で資料として提示することはステュアート研究並びに経済学史研究において非常に価値のある貢献となる。本研究ではこれらを3年間で解明する計画である。 平成23年度に取り組んだのは全9点のうち以下の2点である。1) Sir James Steuart-Denham. Commonplace Book. / Notes upon Xenophon's discourse concerning the improvement of the Athenian revenue. 2) Chalmeriana Lives of Allan Ramsay, James I of Scotland & Sir James Steuart. / Correspondence on French finance; from Sir George Colebrooke to Sir James Steuart.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月に本大学のある東北地域は震災にみまわれ、様々な要因から当初予定していた研究計画通りに進めることができなかった。 最大の要因は授業日程の変更であった。本学では第一学期が開始・終了ともに約一ヶ月ずれ、あわせて教務委員として不断にそれに伴う教務関連の仕事があり、本年度は当初計画していた海外出張での現物草稿資料による確認作業の日程はどうやっても確保することは不可能であった。平成23年度はその他震災関連調査も重なり異常な多忙さで、11月から1月にかけて絶えず体調不良に悩まされ続けることとなった。そういうなかでこつこつと、すでに入手済みのマイクロフィルムをもとに解読作業と関連調査作業を積み重ねてきた。これらの現物草稿資料での確認作業は平成24年度に持ち越さざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成16年度以降継続している草稿研究の経験から、草稿研究については予期せざる研究計画の変更を迫られる可能性があることが予想されたため、本研究の計画もその可能性を織り込んでたてられている。平成24年度と25年度とで初年度の遅れを取り戻すよう最善を尽くしつつ、全9点の資料のうちもっとも研究資料としての価値が高い4点を優先して研究を完成させていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部平成23年度に予定していた研究内容が平成24年度に繰り越されたものの、研究の内容とプロセスとは不変であるため基本的に計画通り、平成24年度分の研究費と平成23年度から繰り越された研究の費用とを使用する計画である。
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