研究課題/領域番号 |
23730203
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
古谷 豊 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (00374885)
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キーワード | 経済学史 / 草稿研究 / 重要主義 / ステュアート / 財政論 / クセノポン / ダヴナント / クセノフォン |
研究概要 |
本研究はアダム・スミス等とともに経済学の成立に寄与した経済学者ジェームズ・ステュアートの財政論に関する、世界的にも未発表の草稿群について研究して研究資料として整備するものである。ステュアートは今日では最初の貨幣的経済学を樹立した経済学者として研究が盛んになっているが、ステュアート研究にとって現在その膨大な草稿群が未解読のまま残されている点が障害になっている。古谷は平成16年度より系統立ててこの解読・資料化の作業に取り組んできた。その過程で、ステュアートの経済理論の重要な部分を成す財政論について、9点の未発表草稿があることを明らかにしてきた。これらは個別資料としても重要であることは勿論だが、まとまった形で資料として提示することはステュアート研究並びに経済学史研究において非常に価値のある貢献となる。本研究ではこれらを3年間で解明する計画である。 平成24年度は昨年度に引き続き[草稿1]Sir James Steuart-Denham. Commonplace Book. / Notes upon Xenophon's discourse concerning the improvement of the Athenian revenue.と[草稿2]2) Correspondence on French finance; from Sir George Colebrooke to Sir James Steuart.についてディスカッションペーパー化する作業を進めるとともに、新たに[草稿4]Correspondence on French Finance; from Sir James Steuart to Sir George Colebrooke.の調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年3月に本大学のある東北地域は震災にみまわれ、様々な要因から当初予定していた研究計画通りに進めることができていない。 平成23年度は最大の要因は授業日程の変更であった。本学では第一学期が開始・終了ともに約一ヶ月ずれ、あわせて教務委員として不断にそれに伴う業務が持ち上がった。本年度計画していた海外出張での現物草稿資料による確認作業の日程はどうやっても確保することは不可能であった。平成23年度はその他震災関連調査も重なり異常な多忙さで、11月から1月にかけて絶えず体調不良に悩まされ続けることとなった。そういうなかでこつこつと、すでに入手済みのマイクロフィルムをもとに解読作業と関連調査作業を積み重ねてきた。 さらに震災の直後の四月に研究科で震災復興研究センターをたちあげ私も運営委員として調査研究に関わることになった。これも予想外のことであるが、状況から判断して本研究課題の遂行と両立させるよう努める意外になかった 平成24年度は震災復興の調査を進めつつ平成23年度から持ち越していた草稿研究の遅れをできるだけ回復するよう、週末もほとんどすべて研究に費やした。遅れは半分ほど回復できたが、まだ当初の計画通りには進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成16年度以降継続している草稿研究の経験から、草稿研究については予期せざる研究計画の変更を迫られる可能性があることが予想されたため、本研究の計画もその可能性を織り込んでたてられている。最終年度の平成25年度に遅れを取り戻すよう最善を尽くしつつ、全9点の資料のうちもっとも研究資料としての価値が高い4点を優先して研究を完成させていく。 当初はカンファレンス形式での発表も想定していたが、草稿の調査とそれの文書形式での発表が最優先されるべきである以上エフォートをできるだけそちらの方に割くこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
一部前年度からの研究内容が平成25年度に繰り越されたものの、研究の内容とプロセスとは不変であるため基本的に計画通り、平成25年度分の研究費と平成24年度から繰り越された研究の費用とを使用する計画である。カンファレンスの代わりに適切な作業補助を組み込んで草稿の研究資料化ができるだけ進むよう工夫する。
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