この研究ではアダム・スミスとともに経済学を個別科学として体系化したステュアートの、財政論に関する草稿9点を研究資料として整備し検証を進めた。とりわけステュアートが亡くなる直前に書いた長文の財政論解説草稿は、研究上極めて重要である。 ステュアートは経済と政府との関わりや貨幣の役割などについて古典派経済学と対照的な体系を樹立し、ケインズなど後の貨幣的経済理論のプロトタイプであるにもかかわらず、大量の草稿が未解読・未公刊のままとなってきた。これら未公刊草稿を研究資料として整備する作業はこの10年間、日本が主導して進めてきた。
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