本研究の成果は、ポスト・ケインジアンの一人として、現代経済学の形成、イギリス労働党の政策実施、開発経済学等に多大な影響を与えたニコラス・カルドア(1908-1986)の経済思想を、以下の諸点から明らかにしたことである。(1)LSEにおける理論形成、(2)第二次世界大戦後の福祉国家構想、(3)発展途上国の開発経済理論・政策、(4)EC加盟論争とポンド切り下げ、(5)支出税構想や選択的雇用税に関する政策、(6)ケンブリッジ学派の経済成長・所得分配に関する理論的貢献と政策、(7)成熟化したイギリス経済への処方箋、(8)フリードマンのマネタリズムや均衡経済学批判、(9)社会民主主義のヴィジョン。
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