初年度はまず,これまでに展開されてきた空間計量モデルの系譜やそれらに対する推定方法の発展やその経済データへの応用についてを日本応用経済学会において報告した。続いて,日本の市町村別にゴミの分別回収が行われている要因分析を,JEuBES5において報告した。さらに,都道府県の歳出にフライペーパー効果が存在するのかといった問題を歳出費目別に分析した。そして,この結果を,科研費研究集会「ベイズ分析のための数値計算技法とその経済・ファイナンス分析への応用」において報告した。この間,日本の所得収束仮説に関する研究結果を日本統計学会誌に,空間SURモデルの生産関数への応用をPapers in Regional Scienceに掲載することができた。 平成24年度は23年度の研究を継続し,分析の精緻化を進めていった。前年度研究を始めたパネル空間プロビットモデルの研究は精緻化を進め,国際地域開発経済学セミナーにおいて報告し,現在投稿している。また,フライペーパー効果の研究も精緻化を進めて日本応用経済学会において報告した。この論文も,現在投稿中である。さらに,新たな研究として,国と地域のビジネスサイクルにどのような相違があるのかを時空間マルコフ切り替えモデルを用い多分析をはじめ,International Conference “Frontiers in Macroeconometrics”において報告した。この論文は,投稿に向けて準備を進めているところである。この間,個票データを用いた大規模データの分析結果を日本統計学会誌に,日本の電力需要の予測のためのモデルの比較をJournal of Forecastingに,所得分布の不平等度の持続性に関する研究をJournal of Income Dstributionに掲載することができた。
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