研究概要 |
世界中の為替市場において、大震災直後に為替レートのボラティリティが急激に高まっていることが分かった。日本でも、東日本大震災(2011年)、阪神淡路大震災(1995年)、関東大震災(1923年)において、方向性は異なるものの急激な為替レートの変化が生じていた。 1920年代の為替介入額を記録した帳簿をもとに、日次の介入データの整備を行った。このデータは関東大震災を含んだ貴重なデータであり、介入が震災時の為替レートに与えた影響を調べることができる。まず、介入の反応関数を推定したところ、当時の介入も為替レートを安定させるために行われていたことが分かった。また、介入には、ボラティリティを低下させる効果が確認され、介入が震災時の為替市場の混乱を収束させる効果を持っていたと言える。 Watanabe and Yabu (2013)では、量的緩和時の介入を分析し、非不胎化介入の方が不胎化介入よりも為替レートへの効果が大きいとしている。ただし、彼らの研究では、内生性の問題は考慮されておらず、Chen, Watanabe, and Yabu (2012)で提唱されたMCMC法を用いて、内生性の問題を除去したうえで介入効果を分析した。その結果、最近の介入(2010~11年)はほぼ100%が非不胎化されており、また、非不胎化介入の方が為替への効果が有意に大きいことが分かった。
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