本研究では、財政的な困難を抱える市町村国民健康保険(以下、国保)について、その保険者である市町村に着目し、国保財政の基盤をなす保険料(税)と国庫等からの補助金の決定メカニズムを実証的に明らかにすることを目的とする。第1に、市町村国民健康保険と介護保険の比較を行った。両者はともに、主な保険者が市町村である一方、財源の内訳が大きく異なる。その結果、国保への補助金は介護保険に比べて、統計的に有意な非効率性を示した。第2に、保険料(税)決定要因として当該市町村の政治的要因を考慮し、市町村長(以下、首長)の政治的背景や議会構成を用いた分析を行った。その結果、首長の在任期間は統計的に有意であった。
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