研究課題
本研究では、研究開発活動の代理指標と考えられる特許の情報を使い、日本が欧米と比較して環境技術に関する研究開発が進んでいるか否かを分析する。平成23年度においては、上記の分析を行うために、PATSTATやIIPパテントデータベースを用いて、環境技術に関する特許データと企業財務データについて分析用データベースを構築した。平成24年度においては、特定の環境技術に焦点をあて、企業の特許出願動向を分析した。その結果、日本の環境技術に関する研究開発は、環境政策によって促進されている可能性が示唆された。平成25年度においては、まず、特許レベルで整理したデータを用いて、特許の質が出願先国や出願人国籍によって異なっているか否かを分析した。分析をする際には、ヨーロッパにおいて最も特許出願件数が多いドイツを、ヨーロッパ地域を代表する国とし、特許の質として被引用件数(前方引用件数)を用いた。分析の結果、日本国籍の出願人による特許の質はドイツやアメリカ国籍の出願人による特許に較べて高いことが示唆された。技術分野別に分析すると、環境リスク評価技術等の個別分野において、日本が優位性を持っていることが示唆された。さらに、出願人レベルで整理したデータを用いて日本企業を対象とした特許生産関数の推計を行ったところ、欧米における環境技術の研究開発活動が、日本の環境技術に関する特許出願件数にプラスのインパクトを与えていることが示唆された。以上の結果から、環境技術に関して日本の方が欧米よりも総じて優れている可能性を統計的に確認した。ただし、日本の方が欧米に較べて優位性を持っている技術分野とそうでない技術分野が存在することも確認された。このことから、今後の環境技術に関する科学技術政策を考える上で、技術分野を適切に考慮する必要があることが指摘できる。
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日本銀行ワーキングペーパーシリーズ
巻: No. 14 14-J-4 ページ: 1, 46
RIETI Discussion Paper
巻: 13-J-062 ページ: 1, 27