研究課題/領域番号 |
23730226
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
中村 靖彦 群馬大学, 社会情報学部, 講師 (90453977)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 水平的企業間合併 / 国際寡占市場 / 応用経済学 |
研究概要 |
2011年度においては,科研費採択題目「国際寡占市場における水平的企業間合併に関する経済理論的分析」に関する研究の基礎となる,国内市場における企業間合併と各企業内の賃金交渉の関係に関する研究を進め,また同時に,各企業内において所有者と経営者間で経営委任契約に関する交渉が市場結果にどのような影響を与えるかに関する研究も進めた.前者については,生産性について非対称な企業から成る寡占市場において,各企業内で賃金交渉が行われる場合にどのような合併パターンが均衡において観察されるかという問題と,均衡における市場形態の社会的な望ましさについて考察した.結果としては,最も非効率な企業が関与する2パターンの合併形態が,厚生の観点から社会的に最適になり得ることが示された.また,採用される均衡が協力ゲーム理論における「コア」に基づく場合と非協力ゲーム理論における「部分ゲーム完全均衡」に基づく場合の均衡市場形態に関する結果の相違についても考察された.さらに,後者の研究においては,従来の研究においては,複占競争で得られていた「各企業内の経営委任契約に関する交渉の存在と経営者の交渉力の上昇が競争を促進させ,利潤の減少と社会厚生の増大を招く」という結果が企業数が一般的な寡占競争においても成立することを確認し,追加的に各企業内で採用される経営委任契約が異なる場合も考察された.具体的には,利潤と生産量の線形結合からなる契約を採用する企業と自社の利潤と相手企業の利潤の線形結合からなる契約を使用する企業が併存する場合には,市場結果に与える影響力が前者の企業の方が相対的に大きいことが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際的な寡占市場における企業間合併の基礎となる国内市場における企業間合併の研究の査読が,想定以上に遅延したことにより,改訂作業に若干の遅れが生じたが,すでに国際寡占市場の合併行動に関する論文は1本完成しており,国際査読付き研究雑誌に投稿中であるため,おおむね研究は順調に進んでいるといえる.
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今後の研究の推進方策 |
上述のように,基本的には研究はおおむね順調に進んでいるといえるため,さらに論文の執筆を進める.国内寡占市場における企業間合併と労働契約に関する研究は改訂要求にこたえる形で再投稿状態にある.そこで次なる研究としては,国際寡占市場における企業間合併と労働契約の相互の影響について探究する所存である.
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次年度の研究費の使用計画 |
基本的には,今年度と同じく,おおむね論文の執筆を終えた後の英文校正費として使用させていただきたいと考えている.昨年度は査読の遅延により,2011年度に使用予定の分を2012年度に繰り越す形となったが,その分も含め,今年度に完成予定の論文の英文校正費として使用させていただく予定である.
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