本研究は若者の非行行為の社会的相互作用の実証分析を行った。(1)若者の交友関係形成をモデル化するためにマッチング理論を援用し、片側非効用移転ゲームとして定式化した。また、安定マッチングの複数性を解決するための計量モデル構造を明らかにし、構造パラメータを推定する統計手法を開発した。(2)若者の交友範囲の特定を行うために、一般的な知識伝播の波及範囲を厳密に計測するための新たな手法を開発した。さらにその手法に基づき局所化距離を厳密に推定した。(3) 交友関係の決定と非行行為の決定を同時に考慮する社会的相互作用モデルを構築し、マイクロデータを使って若者の喫煙、飲酒、薬物摂取についてピア効果を推定した。
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